気象衛星「ひまわり9号」きょう打ち上げ

気象衛星「ひまわり9号」きょう打ち上げ
k10010753061_201611020734_201611020735.mp4
現在運用されている気象衛星「ひまわり8号」のバックアップとなる「ひまわり9号」が、2日午後、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられます。機体は未明に発射場に移され、最終的な準備が進められています。
種子島宇宙センターでは、2日午前1時半ごろ、「ひまわり9号」を載せたH2Aロケット31号機の機体が組み立てが行われた建物から専用の台車で外に出され、25分ほどかけておよそ500メートル離れた発射場に移されました。「ひまわり9号」は、去年7月から運用が始まっている「ひまわり8号」と同じ機能を持ち、8号のバックアップとして打ち上げられます。

気象衛星「ひまわり」は、平成11年に5号の後継機にあたる衛星が打ち上げに失敗して一時的にアメリカから衛星を借り受けた経験があり、安定した観測を続けるうえで2機を同時に運用することが一層重要になっています。
気象庁によりますと、今回の9号は、本格的な運用を始める平成34年度まで軌道上で待機して、8号にトラブルが生じたときは代わりに観測に当たるということです。

打ち上げは、準備の段階で悪天候が予想されたため、当初予定されていた1日から丸1日、延期されましたが、その後天候が回復し、今のところ周辺の気象条件にも問題はない見込みです。

ひまわり9号は燃料となる液体水素などをロケットに注入する作業を経て、2日午後3時20分に打ち上げられる予定です。

機体にアート作品 初の取り組み

今回の「H2Aロケット」の打ち上げでは、機体に漫画家などが描いたアート作品をラッピングする初めての取り組みが行われています。

ラッピングするアート作品の原画は、発行部数およそ1700万部の人気漫画「宇宙兄弟」を手がける漫画家の小山宙哉さんが描きました。小山さんが描いた原画は、ロケットが空高く上っていく姿と、それを見て元気よくジャンプする子どもたちの、合わせて2枚です。ロケットがまっすぐに伸ばす煙を「ロケットロード」と名付け、子どもたちが気持ちを高揚させて夢に向かって進む姿を重ねています。機体にラッピングする作品は、高さがそれぞれ2メートルから3メートル、幅が1.5メートルあります。小山さんは、子どもたちに宇宙の魅力を伝える活動をしている公益財団法人の日本宇宙少年団とともに、全国から子どもたちの「将来の夢」を絵や写真で募りました。そして、寄せられた絵や写真を1.5センチ四方のモザイクにして、合わせて3万枚を組み合わせ、実際にラッピングする作品を作りました。

作品がラッピングされたH2Aロケットの機体は、2日午前1時半ごろ、種子島宇宙センターの組み立て棟から姿を現しました。原画を描いた小山さんは、発射場までおよそ550メートルの距離まで近づいてラッピングされた機体が発射場まで移動するようすを見守りました。

小山さんは、手持ちのデジタルカメラで機体を撮影しながら、みんなで作った作品がしっかりとロケットの2段目の外壁を飾っているのを確認すると笑顔を見せていました。小山さんは「ロケットの機体にちゃんと描かれているのが確認できてうれしいです。皆さんから寄せられたイラストや写真とともに、本物の『ロケットロード』を描きながら打ち上がるのを楽しみにしています」と話していました。