(「若手研究者問題検討委員会有識者会議」終了後、新橋のとある飲み屋で)
有識者教授A「くそう、大学運営費交付金の削減がこのまま続くと、若手研究者を雇用できないじゃないか・・・!」
有識者教授B「でも、もう何年も言ってるけど全然変わんないじゃないか。政治家も文科省の役人も、聞く耳を持ちやがらねえ。現状はどんどんひどくなってる。もう日本の基礎研究はおしまいだ!」
有識者教授A「ウチんとこなんか、5年後には新規採用が凍結になるらしいぜ」
有識者教授B「まだマシだよ。ウチんとこは、もう来年から凍結になるって」
有識者教授A「日本オワタな」
有識者教授B「ああ、オワタオワタ」
有識者教授C「でもさぁ、国なんて絶対動かないし、もう自分たちが変わるしかないんじゃないかな?」
有識者教授A&B「お前、いたのかよ・・・。ていうか、自分たちが変わるしかないって、どういうこと?」
有識者教授C「いや、よく考えたら、オレらめっちゃ給料高いじゃん。助教くんたちの倍近くの給料もらってるし。しかも、あいつら5年で出てかなきゃいけないだろ。オレたちゃクビになる心配もなければ、退職金だって3000万円くらい出るしさ」
有識者教授A「そ、そうだな・・・。俺たちは運が良かったんだ。時代だよ」
有識者教授B「そうそう、時代だよな」
有識者教授C「そうだけどさ、あいつら見てたら本当に可哀想になるんだよ。オレがあいつらくらいのときなんて、全然業績なかったのに、ポスドクもやらないでポンと助手になれてさ」
有識者教授A「ああ、オレもそうだったわ」
有識者教授B「ミ〜トゥ〜」
有識者教授C「オレ、思うんだけどさ、研究意欲がなくなって業績が出なくなったオレらが早く退いてさ、イキのいい若手を入れたほうがいいと思うんだよな」
有識者教授A「業績が出なくなった?!お前と一緒にすんなよ!」
有識者教授B「あれ?おまえ最近、コレスポのペーパーあったっけ?」
有識者教授A「・・・・・・」
有識者教授C「だってさ、たとえばオレら3人がやめたら、5人の助教を雇えるんだぜ。オレたち、さんざん政治家や官僚に文句言ってるけどよ、オレたち自身も無意識に自分らの既得権益を守ろうと必死になってるんだよな・・・」
有識者教授A「・・・・・・やめる」
有識者教授C「え?」
有識者教授A「やめるわ、オレ。やっぱ、引き際が肝心だよな。「体力の限界」ならぬ「知力の限界」、か・・・」
有識者教授C「おいおい、マジかよ?」
有識者教授B「オレもやめるわ」
有識者教授C「?!」
有識者教授B「この前さ、広島カープの黒田が言ってたんだよ。「9回まで投げられなくなって、若手に示しがつかなくなった」って。やっぱ、引き際って大事だよな・・・」
有識者教授C「う、うん・・・。やっぱそうだよな、そうだよな!このまま、若い奴らに辛酸をなめさせて、自分たちだけのうのうと美味しい思いするのは間違ってるよな!!よし、俺もやめる!!日本の基礎研究の未来ために、オレも教授やめるぞ!ジョジョォーーーーーッ!!!!!」
有識者教授A&B「はい言ったぁー!はいやめるって言ったぁああーーーー!!」
有識者教授C「?!?」
有識者教授A&B「どうぞどうぞどうぞどうぞ〜〜」
有識者教授C「おまえら?!?」
有識者教授A「オレやめないもんねやめないもんねー」
有識者教授B「オレもやめないもんねー」
有識者教授C「ダチョウかよ!!!」
全員「どうも、ありがとうございました〜〜〜」
※本記事は有料メルマガ「クマムシ博士のむしマガ」358号「真面目なだけじゃ、伝わらないし変えられない」の一部を抜粋したものです。
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