トップ > 長野 > 11月1日の記事一覧 > 記事

ここから本文

長野

自分の相撲、しっかりと 御嶽海が小結昇進で抱負

新三役に昇進し、抱負などを語る御嶽海(左)。右は出羽海親方=福岡県新宮町の出羽海部屋宿舎で

写真

 福岡国際センター(福岡市)で十三日に初日を迎える大相撲九州場所。三十一日に発表された新番付で、上松町出身の御嶽海(みたけうみ)(本名・大道久司、出羽海部屋)は東小結に昇進した。県出身力士が新三役になるのは八十四年ぶり、初土俵から所要十場所での新三役は昭和以降では五位タイの快挙だ。九州場所では上位との総当たりとなり、「勝ち越し」を目標に掲げる御嶽海は「しっかりと自分の相撲を取れば白星につながっていく」と気を引き締めた。

 福岡県新宮町の出羽海部屋宿舎で取材に応じた御嶽海。新番付を手に「率直にうれしい。(新三役の県出身力士が)八十四年もでてなかったのか、とびっくりした」と率直に喜びを語った。

 東前頭筆頭で臨んだ今年七月の名古屋場所は上位との総当たりとなり、五勝十敗と負け越して試練の場所を経験。西前頭五枚目での九月の秋場所では十勝五敗の二桁勝利で盛り返した。

 「上位と戦って『もうちょっとできる』と思った。その経験があったからこそ、先場所は十勝できた」と振り返る。

 二〇一四年九月の御嶽(おんたけ)山噴火災害にも触れ「まだ見つかっていない人もいる。今後、自分も活躍していくので、見つかっていない人を見つけてもらいたい」と故郷に寄せる心境を吐露。

 そして、本場所ごとに地元などから応援団が駆け付けていることには「期待はすごく感じる」と語り、あらためて活躍を誓った。

◆主な一問一答

 −新番付の感想は。

 素直にうれしい。順調に来られたと思う。勝っていくうちに早く三役になりたいという思いが強くなっていた。

 −新入幕からちょうど一年になる。

 横綱、大関とやれたいい一年だった。その経験を今場所で発揮できればいい。

 −初めて上位と総当たりした七月の名古屋場所は負け越し、九月の秋場所は二桁勝利した。

 名古屋場所は、自分の精いっぱいの力を出してそうだった。上位と戦って「もうちょっとできる」と思い、その経験があったからこそ、先場所は十勝できたと思う。

 −九州場所への決意を。

 今まで通り、しっかりと自分の相撲を取れば白星につながっていくと思う。苦しい場所にはなると思うけど、勝ち越せるよう頑張りたい。

 (酒井大二郎)

◆地元の上松でも喜び広がる

のぼり旗を立て木遣り歌で応援する「あげまつ元気会」の会員ら=上松町のJR上松駅前で

写真

 新三役に昇進した御嶽海の地元では喜びが広がった。

 上松町のJR上松駅前では、町出身のスポーツ選手を応援する「あげまつ元気会」の会員約八十人が三十一日午前七時に集合し、長さ五・四メートル、幅〇・九メートルののぼり旗二枚をクレーンでつるし、化粧まわしをつけた御嶽海の全身写真を載せた垂れ幕なども掲げて昇進を祝った。

 山本勝己会長(63)は「二年足らずで三役になったのはすごい。応援が追い付くようにして、町を元気にしたい」と語った。

 同町は、同駅前のふれあい広場に掛かっていた横断幕を小結昇進に合わせて「祝小結昇進」と書かれた横断幕に取り換えた。町教委の植原一郎次長(58)は「早すぎて大丈夫かと心配になるくらいの出世。これを機に、本人も町も盛り上がっていってほしい」と期待した。

小結昇進を祝うポスターを持つ原さん=上松町で

写真

 同町で文具店を経営し、御嶽海が出世するたびにポスターを作り、町内の店舗などに配ってきた原英紀さん(73)。今回も長さ一メートル、幅三十センチの小結昇進を祝うポスターを百五十部製作中で「うれしいが、これからは勝っても負けても勉強の場になると思う。けがをしないような身体づくりをして、実力をつけてほしい」と願った。

 (桜井祐二)

◆関係者も歓喜、活躍願う声

 「三役昇進の予想は聞いていたが、決まってみるとびっくりした」

 上松町内の自宅でテレビニュースを見た父春男さん(67)はこう喜び、「これから厳しい道になるだろうが、勉強だと思って頑張ってほしい」。母マルガリータさん(46)も「小結になるなんてすごい。けがをしないように」とわが子を気遣いつつ、活躍を願った。

 御嶽海を子どものころから指導している木曽相撲連盟会長の植原延夫さん(76)は「よく短期間のうちにここまで来たと褒めてやりたい。最近は肘を使い、足も出て良い取り口が出てきている」と話し、県相撲連盟選手強化部長の中村協和さん(70)は「心を強く持って、これまで以上の稽古をしてもらいたい。上を目指す気持ちを強く持ってほしい」とエールを送る。

 御嶽海が所属した中学校相撲部の顧問を務めた木曽町三岳小の安藤均校長(57)は「九州場所は御嶽海らしい相撲を取り、次につなげていってもらいたい」、中学生時代にコーチをした経験がある同町職員小林誠さん(42)も「大関、横綱にもう一、二勝できるようになり、さらに上を目指してほしい」と期待した。

 後援会の小島洋一郎会長(69)は「あまりに早い昇進に心躍る喜び。今後は最高位を目指して活躍できるように、バックアップ体制の強化を図る」とのコメントを出した。

 (桜井祐二)

◆本紙が特別号外

特別号外を受け取り見入る人たち=木曽町のJR木曽福島駅前で

写真

 御嶽海の新三役入りを受けて中日新聞社は三十一日、特別号外を発行し、上松、木曽両町で配布した。

 特別号外は移動新聞製作・広報車「ドラゴン号」を使い、A3判両面カラーで二千部を発行した。

 JR上松駅で受け取った上松町の山下サワ江さん(78)は「御嶽海を小さいころから知っている。まだ若いので、けがをしないように頑張ってもらいたい」、同町の女性(72)も「こんなに早くここまで出世するとは思っていなかった。びっくりです」と喜んだ。

 木曽町の男性職員(49)は「県民としてうれしい。これから全てが経験になると思うので、けがのないようにして、気持ちのいい相撲を取ってほしい」と期待を語った。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索