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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 権力者は、孤独である。権力が大きければ大きいほど、孤独も深まって、そこに隙が生まれる

▼ロシア帝政末期、皇帝一家の孤独の隙に入り込んだのは、馬泥棒をして故郷を追われながら、新興宗教に入り神秘的な力を発揮するようになったラスプーチンだった。血友病に苦しむ皇太子を癒やし皇帝一家の「心の友」となった怪僧は、助言者として人事・利権など政治にも口を出すようになり、帝政の崩壊を早めたとされる

▼いま韓国でこの怪僧にたとえられるのは、朴槿恵(パククネ)大統領の「心の友」とされる崔順実(チェスンシル)氏だ。新興宗教家の父を持つ彼女は、母を暗殺事件で失い心の傷を負った若き朴氏に寄り添い、支え続けたという

▼大統領は、その「心の友」に国家機密まで見せ、助言を求めていたのではないか。そんな疑惑に司法のメスが入り、検察が大統領府を家宅捜索する事態になった。それだけではない。崔氏は大統領とのコネで巨利を得て、娘を名門大に不正入学させたのではないかとの疑惑も報じられている

▼韓国には「ヘル(地獄)朝鮮」という流行語があるという。受験地獄の次は就職地獄。だが、コネのある富裕層の若者には近道や裏道が用意されている。まるで朝鮮王朝時代の身分社会のようではないかというのだ

▼「現代韓国のラスプーチン」騒動で、大統領が直面しているのは、「ヘル朝鮮」への憤怒かもしれぬ。  

 

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