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【経済】

廃炉費用工面で東電・広瀬社長 すべて「国の議論待つ」 当事者能力に疑問符

 東京電力ホールディングス(HD)の広瀬直己(なおみ)社長は三十一日、中間決算を発表した記者会見で、福島第一原発事故の廃炉費用について「国民に負担をお願いせずに工面したい」とあらためて述べた。しかし工面する額や具体的な手法については「経済産業省による議論を待つ」と繰り返し、当事者能力を疑問視させる対応に終始した。

 経産省は財界人らとつくる「東京電力改革・1F(福島第一原発)問題委員会」(東電委員会)で、廃炉費用が現在の年八百億円から年数千億円に膨らむと試算。費用を工面するため、東電の原子力部門を分社して他社と提携させるなどの案を提案している。

 広瀬社長は三十一日の会見で、従来通り「考え方としては国民に負担をお願いすることなくやっていく覚悟だ」と語ったが、具体的な内容については「東電委員会の議論を待ちたい」と回答を避けた。

 経産省は、事故被災者への賠償費用の一部を、原発を持たない「新電力」の契約者にも負担を求める方向で検討している。これについても広瀬社長は「私は東電委の事務局ではないから、議題になるか分からない」と話すにとどめた。

 報道陣からは「東電の問題なのだから、もっと主体的に取り組むべきではないか」との指摘もあったが、広瀬社長は「(東電委は)忙しい人たちに集まってもらっているので、ありがたいことだ」と語り、かみ合わなかった。同日発表した九月中間連結決算は、売上高が前年同期比15・5%減の二兆六千四百三十三億円、経常利益は24・9%減の二千七百四十二億円だった。

 

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