2016-11-01
■(僕に)講演を頼む時に絶対にしてはいけないこと 
半年前にも某L社と大喧嘩になったのだけど、ときたま講演を依頼してくるときに非常識なことを要求されて憤慨することがある。そして今また憤慨する依頼があって、いっそもう断ろうと思って断りの連絡を入れた。
彼らは自分が言ってることがおそろしく非常識であるということが、どうもわからないらしい。まあそうだよな。自分で喋れないから依頼するわけだしな。
講演依頼をいただくのはありがたいが、非常識な依頼に対応しているとこっちが無駄に疲れるので、ここに明記しておくほうがむしろ親切だろうと思って記しておくことにする。
悪質なのは、頼む前ではなくて、引き受けたあとにムチャクチャなことを言ってくるということだ。
たぶん、向こうはムチャクチャなことを要求してるという意識がない。「みんなやってるから」流れ作業的に言ってるんだろうが、サラリーマンが小遣い稼ぎでプレゼンしてるのと、プロの講師が本気で教えようと思ってプレゼンするのとではわけが違う。
プロの講演者に依頼するときに絶対にやってはいけないこと
それはなにか
・事前に印刷用資料と投影用資料を要求すること
印刷したほうがいいものがあれば、それはこっちで用意するし、百歩譲っても、「印刷したい場合は○日まで」と言うべきだ。
なぜか決まってこういう場合の講演料は極端に安い。だいたい5万円である。
5万円といったら、普通の会社の一人日くらいでしかない。代取ならもっと高い。
そして僕は文筆家でもあるので、5万円ぶんの原稿料で書けるページ数は5ページくらいである。文字だったら2万字程度。
要するにとても5万円で1時間ぶんのセミナー資料は用意できない。やるとしたらダンピングである。たとえば、じゃあ資料として僕の新刊を使うとする。一冊1800円だけど、これを40人分配ったら、それだけで7万2000円でしょ。これだって、何万部という大量生産が前提だからかなり安くなってるわけだけど、情報の値段というのはそういうものだ。
と主張すると、「受講者の方は何十万円も払ってますので・・・」と来る。当たり前だけどそんなことは僕には関係ない。5万円もらったら5万円ぶんの仕事をするのがプロである。それ以上しないのがプロである。
もっとひどいところになると、「こちらで資料を確認して、わかりづらいところは指摘させていただくので修正いただきたい」などと言い出す。おいおい、何人日使わせるつもりなんだ。これに加えて、場所と移動の拘束があるわけで、とても割に合わない。
ついでにいうと、このような検閲を事前に要求するというのは講師を舐めているとしか思えない。
講師に講演を頼んだ以上はつべこべいうべきじゃないだろう。講演の内容に口を出したいなら自分で喋れよ、と思う。
生徒に事前にスライド配ってわかりづらい部分を指摘してもらう先生がいるか?
普通はその場で質問をとるものだ。
なぜなら、専門的な内容を含んだ講演の場合、専門知識が前提になければわからないことが大半だからだ。なぜ専門知識がない、運営事務局の人間にわかるように資料を修正しなければならないのだ。お前にわかんなくてもお客様にはわかるように書いてるんだよ。
加えて、AIの世界は動きが激しい。3日違えば世界がぜんぜん違うことにも成りうる。ITの世界も同様。Appleの発表があったらそれで世界がクルクル変わるなんてことは日常茶飯事だ。
そんな激しい世界で、資料を一週間前に用意しろだ修正しろだと言われても、とても対応できない。だったら依頼しないで欲しい。
一週間前の知識は既に陳腐化しているというのが常識なのだ。毎日新しいことが起きてるんだから。
こういうのをむかし、学生にやられたことがある。
学生はまだ世の中のことがわかってないんだろうし、そういう引き継ぎをしてきたんだろうからこちらからやんわりと「プロに資料の事前提出を求めてはいけない」と諭すこともできたが、半端な社会人はそんな前提も守れない。
これだけ説明しても「そういう運用でやってるんで」の一点張りで、「じゃあ講演は断ります」と言うと、もうチケットを売ってしまっただとか寝言を言い出す。それこそ知ったことではない。そういう運用でやってるんでしょ。だって。だとしたら自分の責任じゃん。払い戻しでも仕切り直しでもすればいいじゃないの。そういう運用の結末として。
こういう話は、たまに出版社でもあって、連載が1,2回掲載されただけで書店に書籍の企画を売り込んで注文来ちゃったからって言って端金のような原稿料で一冊出されたことがある。もう二度とその出版社で原稿は書くまいと思っているんだけど、そんな扱いをされた原稿もかわいそうだと思う。まあ原稿の著作権はこっちにあるから、電子書籍でもなんでも自分で出せばいいんだろうけど。
表現する側に依頼しておいて表現の仕方に注文をつけるというのは講演の質をスポイルするし、それに疑問を抱かない講演者は、大した内容を話すつもりがないのである。少なくとも僕はそう思う。
編集者の存在というのはまた違って、最近校閲ガールが話題だけど、本当はあれは編集の仕事である。アスキーには校閲ないしね(KADOKWAにもないかもしれない)。
編集者っていうのはありがたいもので、作家と二人三脚で本を作ってくれる人もいれば、ほぼ丸投げで誤字脱字の指摘すらしないというトンデモ系も居たりする。
当たりハズレでいえば、50%くらい。目次まで企画書を落とし込んできてくれる人もいれば、口述筆記で大丈夫ですからといってさんざん時間を浪費させられた挙句、ゴミみたいな原稿しかでてこない人もいる。口述筆記で8時間も使ってるから、オレならその間に一冊書けたよ。ちなみに出版社単位でハズレしかいないところもある。相性が悪いんだろうな。
当たった編集者は本をちゃんとヒットさせてくれる。プロモーションもちゃんと仕掛けてくれるし、ちゃんと売ってくれる。当たった編集者と組むと本は増刷され、ようやく印税だけでもささやかなサラリーマン程度の収入にはなる。当たらないとちょっとしたバイト代くらいにしかならない。
本来、講演を頼む側というのは編集者のようであるべきで、まあだからこそ当たりハズレがあるというのは仕方ない部分があるにせよ、明確な基準があって、それはとにかく「講演資料を事前に提出」させないことだ。内容について不安があるなら事前に打ち合わせすればいいわけだし、だいたい決まって、「講演資料を事前に提出」しろと要求する事務局は、打ち合わせを一度もしない。講演を依頼した相手を信用してないから資料の事前提出を求めるのであって、それこそ高い受講料を払ってやってくるお客様をバカにしてると思うのだ。
というわけで今後、新規の依頼があったらこのページを送ることにしよう
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