米FRB 追加利上げは? 金融政策決める会合

米FRB 追加利上げは? 金融政策決める会合
アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、1日から2日間の日程で金融政策を決める会合を開きます。市場では、大統領選挙の投票を控え、経済政策の先行きが不透明になっていることから、今回は追加の利上げを見送るものの、来月の会合で利上げに踏み切るという見方が多くなっていて、どのような議論が行われるか注目が集まっています。
FRBは、1日からワシントンで金融政策を決める会合を開きます。アメリカ経済についてFRBは、ことし前半の緩やかなペースの拡大から成長が加速していると判断しています。そのうえで、雇用情勢の改善などを背景に利上げに向けた根拠が強まっているとしていて、会合の参加者の間では年内に追加の利上げを行うことが中心的な見方になっています。

会合では、去年12月以来の利上げの是非をめぐって、緩やかな上昇にとどまっている物価の動向や、景気が過熱している兆しがないかなどについて意見が交わされる見通しです。

市場では、1週間後に大統領選挙の投票を控え経済政策の先行きが不透明になっていることから、今回は追加の利上げは見送るものの、年内最後の来月の会合で利上げに踏み切るという見方が多くなっていて、景気の現状などについてどのような議論が行われるか注目が集まっています。

今回は金利は据え置きか

年内に追加の利上げを行う可能性が高まっているFRB。しかし、市場は、今回、11月の会合では金利は据え置かれると見ています。

その最大の要因は、1週間後に投票を控えたアメリカの大統領選挙です。クリントン候補とトランプ候補はいずれも保護主義的な貿易政策を主張しています。先月、ワシントンで開かれた世界経済の課題を議論するIMF=国際通貨基金の国際会議は、大統領選挙の影響について意見が交わされる異例の事態となりました。会合に出席した麻生副総理兼財務大臣は「保護主義的な動きの広がりについては、各国が自由貿易の障害を除去するために行動することが求められている」と述べました。保護主義的な動きが世界の貿易を停滞させることへの懸念が広がっています。

一方、FRBが利上げを議論する背景には、経済の緩やかな拡大が続く中、景気が過熱している兆しがないか警戒する意見が出ていることがあります。アメリカでは、オフィスや店舗向けの商業用不動産の値上がりが続いています。価格指数は、リーマンショック前のピークと比べて、すでに20%以上も上昇しているのです。新たなビルの建設が相次ぐアメリカ西部のコロラド州でも、金融やハイテク関連の企業の進出などを受けてオフィス需要が高まっています。デンバーにある不動産会社は、市内の商業用不動産が3年前の2倍に上昇しているとしていて、「低金利によって不動産価格が上がり、投資も増えている。デンバーの不動産市場はまだ成長の余地がかなりあると思う」と話しています。

内向きな政策が、世界の貿易に悪影響を及ぼさないか。一方で、バブルの兆しがないか。景気の現状をめぐり見方が分かれる中、イエレン議長がどう意見の集約を図るのか、注目が集まっています。