田内康介、力丸祥子
2016年10月31日23時07分
高速道路で料金割引を受ける大口利用者が違反を繰り返したら割引停止になる措置について、会計検査院が東日本、中日本、西日本の各高速道路会社での実態を調べたところ、2014~15年度に重量オーバーなどで道路法に違反した車両が約1万5千件あった一方で、割引停止は5件だった。違反抑止への実効性を高めるため、高速各社は割引停止措置の見直しに乗り出す。
高速各社では、月の利用額に応じて業者などの通行料を割り引く制度を設けている。一方で、重量オーバーの大型車両の通行は道路劣化の原因となり重大事故にもつながるため、こうした違反などを繰り返して累積点数がたまり、一定の条件を満たした利用者は料金割引の対象から外す措置をとっている。
ところが、14~15年度に3社が取り締まった違反計約1万5千件に対し、割引停止は5件。検査院によると、違反点数の累積期間が3カ月だったり、一定以上の違反でなければ点数が付与されなかったりするため、停止措置がとられることが少ないという。検査院は「停止措置の適用要件が違反抑止に十分実効性のあるものになっていない」と指摘した。
首都高速、阪神高速、本州四国連絡高速を含めた計6社は15年度、割引対象車両の通行料金7911億円から2987億円を割り引いている。高速各社は来年度から、累積期間や違反点数の見直しを始める。各社は「大型車両の適正な通行の確保は重要で、対策を強化していく」としている。(田内康介、力丸祥子)
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朝日新聞社会部