【ソウル大貫智子】韓国検察は31日、朴槿恵(パク・クネ)大統領から機密文書を受け取り、国政に介入した疑惑が持たれている朴氏の親友、崔順実(チェ・スンシル)容疑者(60)を緊急逮捕した。崔容疑者がどの文書を入手し、どこまで国政に関与していたかが焦点。韓国では憲法の規定から現職大統領は訴追されないが、疑惑の中心人物が逮捕されたことで、朴政権の危機が深まるのは必至だ。
崔容疑者をめぐっては、青瓦台(大統領府)の機密文書を不正入手した大統領記録物管理法違反や不正に設立した財団を私物化した横領などの疑いが持たれている。朴氏は25日に演説草稿などを崔容疑者に渡していたことを認めて謝罪している。
事情聴取のため出頭した崔容疑者は記者団に「国民の皆さん許してください。死ぬほどの罪を犯してしまった」と話した。検察によると、聴取では容疑を否認したことから、証拠隠滅や逃亡の恐れがあるとして、緊急逮捕した。検察は具体的な容疑を明らかにしていない。
検察側は、崔容疑者のものとみられるタブレット端末を押収し、所有者や保存されている機密文書の解析を急いでいる。また、文書を渡した疑いのある元高官らを出国禁止にしており、近く元高官らの事情聴取も進める見通しだ。
崔容疑者逮捕を受け、世論や野党から朴氏への責任追及の声は高まるとみられ、朴氏の求心力が失われる中で、事態収拾のめどは立っていない。