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大統領府を家宅捜索 検察、文書流出解明へ

朴槿恵大統領の退陣を求めるプラカードを掲げる市民団体の関係者ら=ソウル市内で2016年10月29日、米村耕一撮影

 【ソウル大貫智子】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(64)が親しい民間人女性、崔順実(チェ・スンシル)氏(60)に演説草稿などを渡していた問題で、韓国検察の特別捜査本部は29日、青瓦台(大統領府)を家宅捜索した。青瓦台への捜索は極めて異例。崔氏の国政介入疑惑や青瓦台幹部から崔氏への内部文書流出疑惑の解明を主眼に捜査している模様だ。朴大統領は近く人事を刷新する方針を示しているが、各種世論調査で朴氏の支持率は10%台に急落し、国民の信頼回復は困難な状況だ。朴政権は2013年2月の発足以来、最大の危機を迎えている。

     捜査本部は29日、青瓦台の安鍾範(アン・ジョンボム)政策調整首席秘書官らの執務室に対する捜索令状を示し、青瓦台側と協議。検察側は青瓦台横の建物内で任意で文書提出を受けたが、「意味のない資料」(捜査本部)だったため、検察側が安氏らの執務室を捜索しようとしたところ、青瓦台側は国家機密を理由に拒否した。捜索は30日も続く見込み。

     また、捜査本部はこの日、崔氏と関わる不正が疑われる安氏ら計7人の青瓦台関係者の自宅も家宅捜索し、パソコンや携帯電話などを押収した。

     安氏は、特に朴氏に近く、崔氏が私物化していたとされる財団設立にあたり、企業側に圧力をかけて計約800億ウォン(約73億円)を拠出させた疑いが持たれている。他の6人は、崔氏に文書を渡した疑いのある幹部や大統領の演説執筆を担当した元幹部ら。大統領記録物管理法に違反した容疑が持たれている。

     崔氏をめぐっては、財団問題を発端にさまざまな疑惑が浮上。朴氏は関連を否定していたが、韓国のテレビ局が朴氏の演説草稿などが崔氏に渡っていたと報じると、朴氏は25日、これを一部認めて謝罪した。崔氏が人事や外交など国政に深く介入した疑いが持たれている。

     朴氏は野党などから厳しく責任を追及され、28日夜、首席秘書官10人全員に辞表提出を求め、29日に10人全員が辞表を提出した。朴氏は人事刷新で信頼回復を目指すが、29日夜、ソウル市内では朴氏の大統領退陣を求める大規模な集会が開かれた。韓国ギャラップ社によると、25~27日の調査で朴氏の支持率は政権発足以来最低の17%と前週から8ポイントも落ち込んだ。

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