【社説】危機の韓国経済、大妥協と日本のようなリーダーシップが必要だ

 1997年にアジア通貨危機が起きると、国際通貨基金(IMF)は韓国3政党の大統領候補全員にIMFとの合意を忠実に履行するという覚書を書かせた。経済危機を政治の道具とせず、誰が政権を取っても一貫して構造調整と経済危機の克服に努めろということだった。私たちは、外からやれと言われなければできないのか。与野党と政府は今こそ、大妥協の覚書を国民に提示すべきだ。その紳士協定は、私たちが共倒れのゲームから抜け出すことができるという希望の旗印になるだろう。

 政界は、政府がやむを得ず決定した政策については、結果に対する責任を過剰に問わないという免責の保障をする必要がある。その代わり政府は、大変でリスクが伴うものの誰かがやらねばならないことに積極的に取り組む。経済回復に向けた与野党と政府の常設協議体は、政争に熱を上げる人々を徹底して排除し、それ自体が新たな共倒れのゲーム場と化すことのないようにすべきだ。

 労働市場の非効率さを減らすための労使と政府による大妥協の必要性は、言うまでもない。労働者側が行き過ぎた賃上げ闘争をせず、企業側が雇用創出で応え、政府が政策で支援するというのが、生活の豊かな国、成功した国の共通点だ。労使と政府の合意によって経済活力を取り戻したオランダの「ワッセナー合意」が代表的だ。

 こうした大妥協なくして、韓国経済の悪循環を断つことはできない。企業の競争力と経済活力を引き上げることもできず、若者の失業や非正規雇用の問題も解決しない。労使政委員会は全国民主労働組合総連盟(民主労総)、韓国労働組合総連盟(韓国労総)という2大労総の不参加で意味をなさなくなった。両労総は今からでも委員会に復帰すべきだ。闘争こそ万能と思い込み、極端な利己主義に走る大企業労組を変えるには、企業も最後まで労働者と共に歩むという誠実な姿勢を見せる必要がある。

 社会のムードを一変させるリーダーシップ、そして与・野・政、労・使・政の大妥協があってこそ、韓国経済は古い枠組みを打ち破る苦痛に耐え、新たな芽を生むという好循環構造を作り出せる。多くの専門家が、そのための時間はあまり残っていないと警告している。短ければ1-2年、長くても5年程度とみられている。

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