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日銀、「期待ジャンプ路線」から撤退 財政で緩和強化狙う

ロイター
2016年10月31日
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10月31日、日銀は、9月の「量」から「金利」への枠組み転換によって、市場にサプライズを発生させ、期待インフレ率のジャンプを狙う路線から撤退したとの見方が、BOJウオッチャーの中で浮上している。写真は黒田日銀総裁。都内で9月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 31日 ロイター] - 日銀は、9月の「量」から「金利」への枠組み転換によって、市場にサプライズを発生させ、期待インフレ率のジャンプを狙う路線から撤退したとの見方が、BOJウオッチャーの中で浮上している。当面は海外情勢や市場動向などを踏まえ、財政出動による需要拡大を超低金利で支援し、物価上昇圧力の高まりを待つ構えとみられる。

サプライズ作戦の限界

 「市場にショックを与える政策は、これでおしまいだろう」──。政府・日銀の政策運営に詳しいある関係者は、日銀の方針転換をこう説明する。

 黒田東彦総裁は2013年4月にバズーカ第1弾を放って以降、14年10月に市場の意表を突いた第2弾、今年1月に直前まで否定していたマイナス金利政策と、市場を驚かす「作戦」で存在感を示してきた。

 今回の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の導入も大胆な転換といえるが、「総括的な検証」で示した金融機能への配慮を踏まえれば、マイナス金利政策(現行マイナス0.1%)と長期金利目標(現行ゼロ%程度)ともに、今後の引き下げのハードルは高い、との見方が市場で広がっている。

 これまでの日銀は、インフレ期待が弱まったと判断すれば、サプライズ的な追加緩和によって金融市場を通じた期待の押し上げを狙ってきた。

 しかし、想定外に強まったマイナス金利への批判と、大規模な国債買い入れ継続による量の限界が意識され、「戦術転換」が水面下で模索され出したという。

 量的・質的金融緩和(QQE)の導入当初から、BOJウオッチャーの間では、日銀が狙っているのは、需給ギャップと物価上昇率の関係を示す「フィリップス曲線」に関し、サプライズを起点に短期間で上方にシフトさせることだとの見方が多かった。

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