豊洲市場 都もみずから全敷地に盛り土方針決定 平成21年に

豊洲市場 都もみずから全敷地に盛り土方針決定 平成21年に
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豊洲市場をめぐる問題で、東京都が内部調査を行った結果、平成21年に都として敷地全体に盛り土を行う方針を正式に決定していたことが、新たに見つかった文書から明らかになりました。盛り土を行わなかった今回の問題は、専門家の提言だけでなく、都がみずから決めた方針にも反することが明確となり、都は関係者の処分により厳しい姿勢で臨む方針です。
豊洲市場の問題では、平成20年7月に当時の「専門家会議」が敷地全体に盛り土を行うよう提言したにもかかわらず、都が提言に反して盛り土を行わなかったとして、先月の内部調査の報告書では「組織運営上の問題があった」と結論づけました。

ただ、先の報告書では、盛り土を行わない方針をいつ誰が決めたのかについて特定できなかったことに加え、専門家会議の提言に対し、都としてどのような姿勢で土壌汚染対策に臨んでいたのか、明らかになっていませんでした。

これについて、都が内部調査をやり直した結果、専門家会議の提言の翌年の平成21年2月に決裁した豊洲市場の整備方針を示す文書が新たに見つかり、敷地全体に盛り土を行うことを都として正式に決定していたことが初めて分かりました。
これにより今回の問題は、専門家の提言だけでなく、都がみずから決めた方針にも反することが明確になったということです。

11月1日公表される報告書では、盛り土をしない方針について、平成23年8月の部課長級会議で実質的に決定し、会議を開いた当時の部長の責任は免れないとする内容を盛り込む方向で調整が進められていますが、この、当時の部長は今回見つかった文書で承認の押印をした当事者であることも分かり、都は関係者の処分により厳しい姿勢で臨む方針です。

新たな疑問も浮上

敷地全体に盛り土を行うとする専門家会議の提言について、当時の担当局内では、事務系の職員を中心に、工事の前提条件として順守すべきだとする認識が定着していた一方で、技術系の職員の間では、大規模な建物では設備の点検・修理のための空間を地下に設けることは常識だとする認識があり、提言を守ろうとすると使い勝手の悪い建物になるという見方も出ていました。

これまで、こうした認識のギャップは、専門家の提言をどのように位置づけるのかについて、都としての方針が定まっていなかったことが背景にあると見られていました。

しかし、今回、都としても敷地全体に盛り土をすることを方針として決定していたことが、新たに見つかった文書で初めて明らかになりました。さらに、この方針は、平成21年2月3日、専門家会議の提言を実現するために設置された「技術会議」が敷地全体に盛り土を行うよう提言をまとめたその日に担当局から提案され、3日後に都として決定しました。

今回の問題は、2つの会議の提言だけでなく、都がみずから決定した方針にも反することになり、方針を軽視する議論が都庁内部でなぜ行われたのか、新たな疑問も浮かび上がります。