築地の仲卸業者10社余り きょう閉店 先行き不安広がる

築地の仲卸業者10社余り きょう閉店 先行き不安広がる
豊洲市場に移転せず廃業することを決めた築地市場の水産仲卸業者のうち、10余りの業者が31日閉店しました。移転延期の決定から2か月がたち、市場関係者の間で先行きへの不安が広がる中、店をたたんだ業者の1人は「築地のブランドや人のつながりが失われないか心配だ」と話しています。
市場関係者によりますと、築地市場の水産仲卸業者570社余りのうち、豊洲に移転せず廃業することを決めていた10余りの業者が、当初の移転予定日の来月7日を前に31日閉店しました。

このうち、仲卸業者の榊原康之さん(63歳)は40年余りにわたって築地で高級鮮魚を扱ってきましたが、移転に多額の費用がかかることなどから店をたたむことを決めました。榊原さんの店には、31日朝、取引先の料理店の関係者や仲卸業者が相次いで訪れ、ねぎらいの言葉をかけていました。

市場関係者によりますと、移転延期の決定から2か月がたち、新たな設備のために数千万円を超える多額の支払いを済ませた業者も多い一方、都の安全宣言や業者に対する補償の見通しがたたず、先行きへの不安が広がっているということです。

榊原さんは「築地を気持ちよく去りたいと思っていましたが、築地が築いてきたブランドや人のつながりが失われないか心配です。都にはしっかり方向性を決めてもらって、みんなが地に足のついた商売ができるように信頼を回復して欲しいです」と話していました。