中国国産ブランドの武装ドローン(無人機)の背後にいる企業が株式公開を模索する。秘密主義の中国防衛産業において、民間資本を受け入れる新たな姿勢を示す兆候だ。
この計画について説明を受けた2人の関係者によれば、南洋科技(深圳証券取引所にすでに上場している、ほとんど無名で活動のない会社)がこの夏ひそかに、中国航天科技集団(CASC)から「カイホン(彩虹、略称CH)」シリーズのドローンを生産する事業部門の取得に動いた。
事業買収が完了したら、南洋は社名を変更し「裏口上場」にあたる仕組みで投資家が株式を取得できるようにする。ドローンメーカーの新社名はまだ公表されていない。
この部門は軍用ドローンのほか、中東とアフリカの買い手から熱心に求められている2種類の空対地ミサイルも生産している。こうした政府の多くは、米国から軍用ドローン購入を断られている。米国はドローンの用途について懸念を提起しているためだ。中国製のドローンはすでに、イラクやイエメン、ナイジェリアでの紛争で姿を見せている。
株式上場の計画から、会社側はすでに、前例のない厳しい世間の目にさらされるようになった。CASCは25日、創業以来初となる記者会見を開き、主任技師による事業説明と訓練施設の見学に複数の中国人記者と欧米系メディア1媒体を招待した。
訓練センターのコンピューターシミュレーション上の画像から、狙いとする市場は明白だった。画像には、ヤシの木立がちりばめられた中東の砂漠の景色と、テロリストの訓練キャンプが映し出されていた。パイロットの訓練生が爆撃を学ぶ対象だ。
最も売れ行きのいい「CH4」型ドローンは、米軍が戦闘で広く使用している米ジェネラル・アトミックスの「MQ-9リーパー」と外見が驚くほどよく似ている。
「直接的なコピーではないが、確かに見慣れた感じがする」。米ワシントンのシンクタンク、ニュー・アメリカのドローン戦争専門家、ピーター・シンガー氏はこう語る。「これは全くの偶然の一致か、それ以外だ。私は別の何かの方をとる」
■「対ISで利用」
CASCはドローンの輸出市場を詳述するのを拒んだが、あるスポークスマンは、現在10~20の顧客がいると述べた。「CHドローンは主に、過激派組織『イスラム国』(IS)を含む反政府武装勢力に対して使われている」。CHシリーズの主任技師、石文(シー・ウェン)氏はこう語り「我々は主に、貧しい国や中所得の発展途上国に売っている」と付け加えた。