知覚過敏用の歯磨き粉にはどんな効果があるのか?
アイスなど冷たいものを食べた時に痛みを感じる知覚過敏。その痛みを和らげるための知覚過敏用歯磨き粉が存在します。では、この知覚過敏用歯磨き粉は、歯にどのように作用するのでしょうか。今回の「SciShow」では、歯の構造のおさらいと、知覚過敏用歯磨き粉のメカニズムを解説します。
- シリーズ
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SciShow 2016年10月8日のログ
- スピーカー
- Hank Green(ハンク・グリーン) 氏
知覚過敏に効く歯磨き粉の仕組み
ハンク・グリーン氏 フルーツのおいしさを期待してアイスキャンディーに噛みついたのに、鋭い痛みを歯に感じたことはありませんか?
もしそうなら、あなたは過敏な歯をお持ちですね。知覚過敏用歯磨き粉は、さまざまな方法で、熱、冷たさ、また圧力によって引き起こされる痛みを防ぐようにデザインされています。しかし、一体どのように歯磨き粉は作用するのでしょうか? 今回のSciShowでは、この質問にお答えします。最初に、少しだけ歯の生態構造を理解しないといけません。
歯冠は目に見える部分ですね。それは、エナメル、象牙、歯髄の3つの層で形成されています。歯のエナメルは、体のなかでもっとも硬い物質で、大部分はヒドロキシアパタイトやカルシウムといったミネラルでできています。
エナメルには、生きた細胞が含まれていないので、もしバクテリアによる痛みや乳酸によってエナメル部分が削れてしまった場合、あなたの体は新しいエナメルに置き換えることができません。
象牙はあるミネラルと有機化合物で形成されており、微細な小孔または小管があり歯髄へと繋がっています。そして歯髄には、象牙を形成する象牙芽細胞と呼ばれる細胞があり、それは細胞組織、神経そして血管へと結合します。象牙にあるこれらの小管がエナメルで覆われていないと、空気や液体が入り込み、神経を刺激し、脳にシグナルを送り、あなたは痛みを感じるというわけです。
知覚過敏用歯磨き粉は、神経や開いた小管と相互作用する化学薬品によって、痛みを止める働きをします。神経細胞はイオンチャンネルとよばれるタンパク質を含み、それが開くことでイオンは細胞の電荷を変えるために動き、シグナルを送ります。
硝酸カリウムが含まれた歯磨き粉を使うと、例えばエクストラカリウムイオンが小管を通り神経に流れ込み、シグナルを送る能力を妨げます。基本的に、それは痺れ薬のような働きをします。あなたの神経は、熱や冷たさにさらされているのですが、あなたの脳はそれらを検知しません。
一方で、ストロンチウムは歯のミネラルの1つであるカルシウムに似た構造をしているため、塩化ストロンチウムのような化学薬品は象牙の小管をブロックします。小菅をブロックして、神経を刺激しないようにすることで、痛みを消しているのです。
したがって、過敏な歯を知覚過敏用歯磨き粉で磨くことは、いい治療になるのでしょうか? いいえ。まったく効果はありません。それは花粉症をアレルギー薬で治療しているようなもので、ただ症状が癒えるだけで問題そのものがなくなるわけではありません。
そしてこの場合の本当の問題は、二度と作り出すことができないエナメルの侵食によるものなのです。時に歯の痛みはほかの症状が原因の場合もありますので、大きな問題を回避するために、常に歯医者さんの診断を受けるべきです。
長い目で見た場合、知覚過敏用歯磨き粉はあなたの歯を強くする働きはないでしょう。ただ、もしあなたがアイスキャンディーを歯の痛みを感じることなく楽しみたい場合は、このトリックは有効だというわけです。