Tech Frontline

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

ハード会社にソフトは無理か 大型買収相次ぐ失敗

(1/2ページ)
2016/10/31 6:30
保存
印刷
その他

ITpro

 米国の大手ハードウエア企業による、ソフトウエア事業の売却が相次いでいる(表1)。米Hewlett Packard Enterprise(HPE)を筆頭に、米Intel(インテル)、米Dell Technologiesが立て続けに大規模な事業売却を発表した。ハードの会社がソフト事業を展開するのは難しかったのか――。「本業回帰」とも言える一連の動きはそんな感想すら抱かせる。

表1 米ハードメーカーによる主なソフトウエア事業売却
画像の拡大

表1 米ハードメーカーによる主なソフトウエア事業売却

 HPEは2016年9月7日(米国時間)、「非中核(ノンコア)」と定義するソフト事業を分離し、英Micro Focusと統合すると発表した。

写真1 米Hewlett Packerd Enterprise(HPE)の本社
画像の拡大

写真1 米Hewlett Packerd Enterprise(HPE)の本社

 HPEがソフト事業から全面撤退するわけではない(写真1)。サーバーストレージ、ネットワーク機器といったIT(情報機器)インフラストラクチャー事業で、いわゆる「Software Defined」を実現するためのソフトは手元に残す。具体的にはITインフラ管理ソフトの「HPE OneView」や、PC(パソコン)サーバーとソフトの組み合わせだけで垂直統合システムを実現する「ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー」のソフトである「HPE Synergy」などを残す。

 これら以外の「IT運用管理」や「アプリケーションデリバリー管理」、「エンタープライズセキュリティー」「情報マネジメント&ガバナンス」「ビッグデータ分析」などのソフト事業は分離し、Micro Focusと統合する。見返りにHPEは25億ドルの現金を受け取るほか、Micro Focus株式の50.1%をHPEの既存株主に割り当てる。

 これによってHPEの株主には88億ドルの価値がもたらされるとHPEは説明する。分離はHPEの2017会計年度後半(2017年5月~10月)に完了する予定だ。

■190億ドル以上を費やして買収した事業

 88億ドルで分離するソフト事業は、HPEの前身であるHewlett-Packardがこの10年間に、190億ドル以上を費やして買収したものだ。

 「ALM」や「AppPulse」などの製品名で販売するアプリケーションデリバリー管理ソフトは、2006年に45億ドルで買収したMercury Interactiveに由来する。「Data Center Automation」などのIT運用管理ソフトは、2007年に16億ドルで買収したOpswareなどの製品。Opswareは、著書「HARD THINGS」で知られるベンチャーキャピタリスト、Ben Horowitz氏が起業した会社だ(表2)。

表2 旧Hewlett-Packardによる主なソフト企業買収
画像の拡大

表2 旧Hewlett-Packardによる主なソフト企業買収

 セキュリティーソフトには、2011年に15億ドルで買収した「ArcSight」や2010年に買収した「Fortify」、2015年に買収したばかりの「Voltage」が含まれる。ビッグデータソフトには、著名なデータベース研究者Michael Stonebraker氏が起業した会社を3億5000万ドルで買収して手に入れたカラム型データベースの「Vertica」に加え、110億ドルで買収した後に不正会計の発覚したAutonomyの検索エンジン「IDOL」が含まれる。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

関連キーワード

企業買収子会社化事業統合インテルヒューレット・パッカード・エンタープライズHPEクエスト・ソフトウェアフォーカスマカフィーフォーティファイオプスウェアデルソニックウォールアイ・ビー・エムEMCSUSENetIQTPG日経ビーピー

日経BPの関連記事

【PR】

【PR】

Tech Frontline 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

写真1 米Hewlett Packerd Enterprise(HPE)の本社

ハード会社にソフトは無理か 大型買収相次ぐ失敗

 米国の大手ハードウエア企業による、ソフトウエア事業の売却が相次いでいる(表1)。米Hewlett Packard Enterprise(HPE)を筆頭に、米Intel(インテル)、米Dell Tec…続き (10/31)

フィルム状センサーのパターンでアンテナの機能を果たす。赤丸の部分に専用ICを実装している

電池不要のタイヤ空気圧センサー、電波を電気に変換 [有料会員限定]

 米ON Semiconductorは、電池が不要なフィルム状センサーを開発した。温度や湿度、圧力、人や物体の有無やセンサーとの距離などを測定・検知できる。低コストにできる特徴を生かして、タイヤ空気圧…続き (10/28)

HRテクノロジーカンファレンスの会場の様子。400を超えるブースに多数の参加者が詰めかけた

人事が変わる 米で世界最大HR Techイベント [有料会員限定]

 米シカゴで10月に開催されたHRテクノロジーカンファレンスは、企業における人事業務のIT(情報技術)支援に主眼を置いた世界最大のイベントである。会場には400を超えるブースが並び、大きな盛り上がりを…続き (10/27)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

日経産業新聞 ピックアップ2016年10月31日付

2016年10月31日付

・海外宣伝のコスト診断 ウィップジャパン
・X線、結晶のひずみで制御 理研 射出位置のズレ利用
・3色コードで物品管理 パナソニック
・細い下水管、自走点検 管清工業 破損や腐食をカメラで確認
・ダイハツ、車整備にAR端末 センサー付き工具と連動…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

[PR]

関連媒体サイト