「ローカル・モーターズも印刷した金型を使ってたのかぁ」
2016年10月20日正午過ぎ、記者は東京ビッグサイト(東京江東区)で、ある講演に耳を傾けていた。壇上で話していたのは、米ローカル・モーターズでメカニカル・エンジニアを務めるジェームズ・アール氏。ローカル・モーターズというのは2014年、世界で初めて3Dプリンターで“印刷”したEV(電気自動車)を開発したベンチャー企業だ。
同社は3DプリンテッドEV「Strati(ストラティ)」の車体を丸ごと印刷して作っている。下の写真がその様子。他社と共同で開発した巨大な3Dプリンターは、材料であるCFRP(炭素繊維強化樹脂)を1時間に16kgも吐出できるため、車体も含む1台分の部品を「28時間ほど」(アール氏)で作れるという。
部品を作らずに型を作る
完成した部品はまだ表面が粗いため、CNCマシニングセンター(コンピューター制御の加工機)で滑らかにした後、ローターやホイール、バッテリーなど他の部品を人が手で組み付ける。アール氏によると、金属部品の加工も含めて3~4日で1台のクルマを生産できるという。
ここで冒頭の記者のつぶやきに戻ると、ローカル・モーターズは3Dプリンターでクルマの部品を丸ごと作っているだけではなく、部品を作るための「金型」も作っているという。ちなみに金型といっても樹脂で作るので、正確には「樹脂型」だ。
これは部品を直接、3Dプリンティングするよりもモノ作りに大きなインパクトを与えると記者は見ている。