猫の正しい飼い方や習性などがイラスト付きで分かりやすく解説されている=山口県下関市で、上村里花撮影
山口県下関市は、猫の殺処分を減らし、飼育のルールを守ることで人と猫が共存できる町を目指し、冊子「ねこの適正飼養に関するガイドライン」(A4判、22ページ)を製作した。飼い主の責任や野良猫を見守るルールなどをイラスト付きで分かりやすく解説している。5000部作製し、市動物愛護管理センター(同市井田)や各支所などで配布している。【上村里花】
市動物愛護管理センターが2014年度に収容した猫は875匹で、うち9割以上の798匹が、飼い主や譲渡先が見つからず殺処分された。センターが開所した09年度は収容1535匹、うち殺処分1502匹で頭数はほぼ半減しているが、依然として殺処分の割合は高い。また、交通事故や病気など路上で死んだ猫も673匹以上(14年度)となっており、センターは正しい知識の啓発により、少しでも殺処分や事故死を減らしたいと、初めてガイドラインを策定した。
市の実態調査(13年度)によると、屋外に居る猫の数は約7400匹と推計される。センターにはほぼ毎日、猫に関する苦情が寄せられるが、そのほとんどが、野良猫への餌やりや野良猫の被害に関する苦情だという。過剰な餌やりによって頭数が増えすぎると、結果的に生存競争が激化し、栄養不足や病気で死ぬ猫が増えることになる。センターの小野洋一郎センター長は「無責任な餌やりがどういう結果を引き起こしているか理解してほしい」と話す。
冊子では、野良猫を見守るルールとして、まずは室内飼育するか譲渡先を探すことを考え、路上で「地域ねこ」として見守る場合は、▽不妊去勢手術をし、これ以上増えないようにする▽餌は決めた時間に与え、残った餌は片付ける▽餌やりは近隣住民に迷惑のかからない場所に固定する--などを示している。市では13年度から猫の不妊去勢手術費用の補助について、飼い猫だけでなく、野良猫にも対象を拡大している。
また、飼い猫についても、終生飼育など飼い主の責任や室内飼育の推奨など「正しい猫の飼い方」を分かりやすく解説している。小野センター長は「冊子を活用し、猫の習性や繁殖行動について正しく理解していただくことで、少しでも殺処分を減らすことができれば」と話す。問い合わせは市動物愛護管理センター(083・263・1125)。