俺は若年性パーキンソン病と闘っています。
若年性パーキンソン病は、年寄りに発症が多いパーキンソン病を、若くして発症してしまう病気です。若年発症は進行が遅い反面、その分苦しむ時間が長く、また、働き盛りで発症するため、定年後の発症患者と違う経済的な苦しみがあります。
この病気は肉体的な苦痛より、精神的な苦痛の方が大きい病気です。分かりやすく例えると進行の遅い末期がんという感じでしょうか?しかし、現在、次々と新しい治療法が発見されているため、10年後には治療方法が確立されるのでないかと個人的には考えています。
症状は多岐にわたり、発症する症状も人それぞれのため、まわりの人も対処に困る病気でもあります。次にこの病気の症状などについて引用を載せます。
パーキンソン病の4大運動症状
パーキンソン病の運動症状としては、以下の4大症状が見られます。
①手、足、下あごなどが震える。(安静時振顫)
②筋肉がこわばり、スムーズに動かなくなる。(固縮)
③手足の動きがゆっくりとなる。(動作緩慢)
④身体のバランスが悪くなり、転びやすくなる。(姿勢反射障害)
パーキンソン病の非運動症状
パーキンソン病ではその他非運動症状として以下の症状が多くみられます。
・自律神経症状 便秘、排尿障害、発汗過多、性機能障害、起立性低血圧
・精神症状 幻覚、幻視、注意欠損、不安、抑うつ症状、認知障害
・感覚症状 臭覚異常、痛み、しびれ
・消化器症状 味覚障害、吐き気、嚥下障害、流涎(よだれ)、便秘
・睡眠障害 夜の不眠、昼の眠気、睡眠中に突然大声をだす
・その他 疲れやすい、体重の減少、声が小さくなる 小字症
現在、俺は病気の確定診断を受けてから約5年経ちました。現在、手足の震え以外の4大運動症状が出ています。また、非運動症状としては、自律神経症状、感覚症状、睡眠障害、疲れやすさなどの症状が出ています。
このような病気であるパーキンソン病を30代で宣告された時のことを書きます。同じ病気になった方、また、他の難病になった方で、あの衝撃を文章化しきれている人は少ないと思います。大抵の人が思い出したくない過去だと思います。
同じように病気で苦しむ人だけでなく、ご家族、同僚の方にも読んでいただき、病気で苦しむ人の気持ちを少しでも理解していただきたいす。
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当時、俺は朝6時に起きて、7時には会社で仕事をして、帰りは夜の8時から11時ぐらい。家に帰って風呂入って、飯食って、仕事の勉強をして、寝るのは1時過ぎ。睡眠時間は5時間ぐらいでした。
最初の異変は、車の鍵をポケットから出す時でした。取り出すときに毎回、落としました。ロッカーの鍵も同様で毎回、落としました。そのうち、右腕が重く感じるようになり、しびれみたいなものを感じるようになって、流石に気のせいではなく、何かの病気になったと思いました。その時は、胸郭出口症候群だと自己診断していたので、あまり深刻に考えていませんでした。
病院に行って検査を受けましたが、どこも異常がなく、原因不明でした。ただ、お医者さんからは、「脳などに異常がないのに、このような症状が出る場合は、いくつかの病気が思いつくが、どれも難病であるので、今はもう少し症状が出るまで経過観察で様子を見ましょう。」と言われました。この時、俺は、ALS(筋萎縮性側索硬化症、筋力低下で呼吸筋麻痺により死亡する病気)になったかもと思いました。余命も残り5年かな?とか思いましたが、やり残したこともなく、別に悲しいという感情も沸きませんでした。むしろ、連日の残業から解放され好き勝手に生活して死ねると喜んでいました。
病名不明のまま、1年経って、上司に勧められて別の病院に行き、そこで、お医者さんから、「あなたの歳で発症するのは珍しい。」とか、「治療法はないが、遅らせることはできる。」とか、涙目で色々前置きを話され、伝えられたのが『若年性パーキンソン病』でした。え~、ALS(筋萎縮性側索硬化症)じゃないの?パーキンソン病って何?って感じでした。俺がネットで調べた時、発症確率の低い『若年性の難病』は気にもとめていなかったので、よく知らない病気でした。
家に帰り調べても、パーキンソン病は、老人に多い病気で、簡単に言えば急速な老化みたいなものだと分かり、この程度の病気なら会社は休めないなと思い、次の日も普通に出社して、上司に報告しました。上司はパーキンソン病のことを詳しく知っており、特に若年性パーキンソン病は、普通のパーキンソン病とは別格であり、その大変さはかなり深刻だと教えてもらいました。
それでも、他人事のように、普通に仕事をしていました。一応、自分の病気について知っておこうと思いネットで調べると、この病気は外見に表れにくい病気のため、ほとんど人に理解されない病気で、また、長く苦しい病気のため、自殺する人が多い病気であることを知りました。それを知ってから俺は精神的な不安から睡眠が浅くなり眠れなくなりました。5日目に限界がきて、会社を休み睡眠導入剤を処方されました。
それからは本当にひどかったです。進行性の病気で、いつか寝たきりになる。今日より明日は、今より体の自由が利かなくなる。この絶望的状況に耐えられず死を選ぶ人が多い。治療法が見つかったというニュースが流れて喜ぶと、その治療法が確立されまでかなり先だと分かる。まだ、待たされるのかとうなだれる。とにかく、辛かった。
パーキンソン病は直接的には命に影響のない病気です。ただ、間接的には危険な病気です。バランスを崩して階段から転げ落ちて亡くなる人もいます。嚥下障害で食べものを詰まらせて亡くなる方もいます。パーキンソン病によるうつ病で自殺する人もいます。普通に生活できる反面、その普通の生活で命を落とすリスクが高い病気です。
世の中には、もっと大変な病気があります。それらと比べると大したことのない病気です。でも、俺自身は結構、精神的に辛いときがあります。いつもは、まわりに心配させないよう無理して笑っているけど、やっぱり怖いです。
ただ、この病気になって良かったこともあります。人に感謝をすることを覚えました。人を尊敬し、愛することを覚えました。俺にとって、今日という日は、常に大事です。今日までできたことが明日できる保証がないから。だから、その時、その瞬間を大事にしています。好きな人には好きだと言います。愛していると言います。明日、同じことを言えないかもしれないから。困っている人には迷わず手を差し伸べるのも、優しい人には遠慮なく甘えさせてもらうのもそのためです。俺は今を楽しむことに遠慮しません。これ以上後悔したくない。
今、何かに苦しんでいる人に伝えたいです。この世の主人公はあなた自身です。だから、遠慮はいりません。好きなように生きてください。ただ、人から非難されるようなことをしてはダメです。それは格好悪いから。主人公は常に格好良くあるべきです。
胸張って生きること。それが人生です。だから、俺はこれからも、自分を貫きます!
みんな、愛してるぜ!