初段のコイルの作成

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 固定台と初段のコイルを作った。
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 固定台を作るのに何日も使ってしまった。あわよくば最終的に銃の形に仕上げる時にそのまま流用しても良いように真面目に設計していると時間が掛かったのだ。

 細かい寸法は上の図に描いてある。アクリルパイプは以前に述べたとおり外径8mm,内径6mm。全長は320〜350mm。大きすぎると思うかもしれないが、私はこれで構わない。ここを頑張って短くしてもどうせ最終的には大量の電解コンとデカいバッテリーを銃身にぶら下げて嫌でも大きくなるのだ。

 発射時は作用・反作用の法則でコイルには後ろ向きに大きな力が掛かるのでしっかり固定してやらねばならない。写真のように1mm厚のゴムシートを幅1cmのテープ状に切ったものを両面テープでロールケーキのように巻き付けてセパレータを作った。若干引っ張るようにして巻くと強度が増す。
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コイルは意外に太くなるのでセパレータは十分な高さを確保してやらねばならない。1cm×20cmに切ったゴムシートを2つ継ぎ足して巻いた。見た目の印象は弱そうだが、見た目よりずっと頑丈である。巻き終わりの部分は後でUEW線を固定するときに使うのでまだ接着剤で固めてはいけない。

 UEW線(エナメル線)を巻く。UEW線の巻き始めはセパレータの巻き終わりの部分を少しめくってそこに線を挟む形で強力接着剤で固める。固まるまでは万力で軽く抑えておくのが良いだろう。セロテープでも良い。
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 巻く向きは自由だが、自分は磁界が+z向きになるように巻いた(=銃口から覗きこんで半時計回り)。後方(発射の向きの反対側)から巻き始めた。0.8mm線は4回折り返してさらに17mm程巻いたところで尽きた。1mm線は4回折り返してさらに42mm程巻いたところで尽きた。つまり両者とも完全4層, 不完全5層であって5層目はコイル後部寄りである。

 コイルを巻く作業は非常に手を痛くする。ほつれないように常に引っ張りの力を掛けながら、線同士を密着させて10mも巻くのだ。しかも1mm線は硬い。未経験者なら巻き終わるのに30分は見込んでおいた方がいい。折り返し部分が特に大変である。隙間なくしっかりきつく巻いておかないと折り返し部分で上下層が入り乱れてコイルの端がグチャグチャになる。虚しいと言ったらない。

 巻き終わりはほつれないように強力接着剤で固める。取り敢えず周囲をガムテープで仮止めして、巻き終わりをピンポイントで固める。それからガムテープを剥がして一周をぐるりと固める。そして巻き始めと同じようにセパレータに固定する。コイルの両端線は後方と前方別々のセパレータに固定したほうが良いだろう。後の記事で述べるが、コイルには一瞬(約3〜8ms)だが250Vの電圧が掛かり、400A強の電流が流れるのだ。両端子が短絡したら大変なので遠ざけておくに越したことはない。
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 初段コイルの後方セパレータの後ろのアクリルパイプはは5mm程の余裕をもたせている。プロジェクタイルの有効長さが2cmだから、コイルに半分進入した状態でスタンバイさせるには丁度セパレータの後端にプロジェクタイルの尻が揃うようにセットすればよいので、アクリルパイプのこの5mmの出っ張りは不要だと思うだろうが、後で必要になるかもしれない予感がするので念の為残してあるのだ。

 パイプを固定台に取り付ける。固定台は3cm×3cm×60cmの角材を切って50cm程にしたものを使用した。切り取った10cmは何に使うのかというと、冒頭の寸法図に黄色い長方形で示されている部分のために使うのだ。これはアクリルパイプを支えるサポーターである。3cm×3cm×1.8cmにスライスして真ん中にボール盤で穴を開けてパイプを通す。重要な部分だから精度よく作る必要がある。穴が斜めになったり位置がずれるとパイプが曲がってしまうので大変だ。直径は8mmより少し余裕を持って8.5mmとする。少し余裕を持たせることで、どうしても生じる僅かなズレを固定時に吸収できるのだ。厚みはこちらの都合で1.8cmとなったが、この数字に特に意味はない。もっと厚くして2cmでも良い。木材の切断の腕前に自信がある人は構わないが、私のようなド素人はホームセンターの直線カットサービス(1回¥30)に頼んだほうが無難だ。
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 サポーターとアクリルパイプの固定にはコイルの時と同じようにゴムシートによるセパレータを用いる。コイルの時と違って高さは必要ないので1cm×20cmのテープ状のものを1回巻けば良い。
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 2つのサポーターの間には後で2段目のコイルを巻くことになる。冒頭の寸法図を見ると間に水色で示された1mm厚の3cm×3cmのアクリル板が挟まっている。パイプが刺さっているだけで、固定はしていない。これは後に2段目コイルの赤外線LEDとフォトトラを収める暗室の壁の一部になるのだ。今はまだ透明だが後に黒く塗装する。これの穴も直径は8.5mmとしている。若干の隙間があるが、これは2段目コイルのセパレータで塞がれるので問題ない。
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 これでアクリルパイプとセパレータはz方向には固定されたが、φ方向には固定されていない。少し力を入れれば回すことができる。しかし別に構わない。自然に回ってしまうほど弱くはないし、発射の衝撃には関係ないのだから。気になるならセパレータとサポーターの間に予め接着剤を塗っておいてくっつけてしまえば良い。完成したパイプユニット。手前が1mm線で奥が0.8mm線。
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 サポーターを固定台に取り付けるのに1mm厚のアルミ板を加工して作った自作プレート金具を使用した。
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 アルミ片の大きさは1cm×2cm。こんなに都合のいい大きさのプレート金具はホームセンターでは売っていないだろう。なぜアルミを使うかというと、透磁率が真空と殆ど一緒だからコイルの近くにあっても磁界にあまり影響を及ぼさないと考えたからだ。アルミ板にカッターナイフで見取り図を薄く彫り込んで、ボール盤でネジを通す穴を開ける。それからハンドニブラとボルトカッターと金切りバサミを使って金具の形に切り出す。
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 切り出したらエッジをヤスリがけして滑らかにしておくと良いだろう。ボール盤で穴を開けると反対側にリムが出るので、金具の形に切り出した後にヤスリで削り取る。ボール盤で使える回転ヤスリがあるのでそれを使うと良い。
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 固定用の木ねじは直径3mm,長さ10mmの鍋タッピングを使用した。木材に下穴を開けるのを怠ると割れて台無しになるので注意。

 下の写真は0.8mm線のコイルを取り付けた様子。ネジを外せば固定台とパイプユニットは分離できるので1mm線のコイルに換装できる。
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 次回はコイルのインダクタンスと直列抵抗を測定する予定。

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