【コラム】1979年、1997年、2016年の深刻なリーダーシップ空白

 30歳で世の中の道理を理解していたのに、なぜ崔順実一家については見抜けなかったのか。40年前も、大統領になってからのおよそ3年間も、大なり小なり警告のサイレンが鳴っていたはずだ。無情なのは人間関係、測り難きは人の心なのだから、大統領になってからは私的な親交には依存せず、公的な関係でちゃんと働く人をあまねく推薦してもらい、受け入れるという度量を持つだけでも、今のこの大変な「崔順実ゲート」でリーダーシップが崩壊する悪夢を招くことはなかっただろう。両親を失い、世間と隔絶された朴大統領を最も強く支配したのが「背信のトラウマ」だが、結果的に韓国国民とはコミュニケーションが取れず、数少ない付き合いとばかりコミュニケートしたせいで、朴大統領自身が国民を裏切るという状況になってしまった。

 25日に1分40秒のいささか短い謝罪文を発表して以来、朴大統領と青瓦台は沈黙している。97年の通貨危機を見て、自叙伝に「揺れる国の経済を見ていて感じた危機感のせいで、心が真っ黒く燃え上がっていくような気分だった」と書いていた朴大統領。今はどうなのだろうか。自分のせいで起こったこの危機を、どれくらい強く認識しているのだろうか。韓国国民の怒りが増幅し、さらに大きな危機を招く前に――あまりにも遅くはあるが――長老にあれこれ知恵を借り、挙国一致への助力を請いつつ「白衣従軍(重罪により将の資格を奪われ白装束で前線に派遣される刑罰)」する気持ちで、そして国民が納得できるレベルで事態の収拾に乗り出すことを望む。

姜京希(カン・ギョンヒ)論説委員
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