【コラム】1979年、1997年、2016年の深刻なリーダーシップ空白

【コラム】1979年、1997年、2016年の深刻なリーダーシップ空白

 25日午後、韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領がテレビカメラの前に立った。陰の実力者といわれる崔順実(チェ・スンシル)氏の問題に関して韓国国民に謝罪する姿を見ながら、19年前のことを思い浮かべた。1997年11月、ドルが底をついたことを韓国政府が認め、国際通貨基金(IMF)に対する救済の申請を経済副首相が発表した場面だ。その瞬間、大統領のリーダーシップは真っ逆さまに地に落ちた。

 この40年の間、韓国はおよそ20年置きに深刻なリーダーシップの空白に見舞われた。朴槿恵大統領ほど、国家的な危機の局面と人生の軌跡が一致している人物も珍しい。79年に朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が死去した後、27歳で世間から切り離され、長い蟄居(ちっきょ)に入った。彼女を政治の舞台に引き出したのは、18年後の97年に起きたアジア通貨危機だった。「ドル不渡り」で未曽有の経済危機に直面した国のために奉仕したいと政治に入門し、大統領の椅子にまで上った彼女が、19年後の今、「統治力不渡り」を起こして国の危機を深めている。

 朴大統領は「優雅で、質素で、約束は守る」というイメージを支持層の心に刻んでいた。父親が残してくれた政治的遺産に加え、長い歳月じっと耐え忍んで守ってきた節制と品位のおかげで、保守層から支持されて今の地位に上った。老練な国政運営はできなくとも、反則が横行する韓国社会に最小限の原則を打ち立てる改革くらいは推進するだろうという期待があった。ところが、兄弟姉妹まで遠ざけて守ってきた「原則の政治家」という政治的資産は、「反則大魔王」の側近に依存し、振り回されるという状況があらわになる中で空中分解してしまった。

姜京希(カン・ギョンヒ)論説委員
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