UEW線(エナメル線)の長さと太さ/バレル,プロジェクタイルの太さ

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 加速コイルについて考える。使うエナメル線の太さ, 長さ, コイル長, 半径, プロジェクタイルの長さ, 半径を決めねばならない。

 先人達の足跡を見ると、エナメル線(ポリウレタン銅線 (UEW線))は直径0.8mmまたは1mm、線長10mとし、多層巻としたものがよく使用されているようである。今回は先人に倣って線長は10mとすることにした。直径は細いほど電気抵抗が大きい(0.8mmなら1mmの約1.56倍)が、太さが変わるとコイルのピッチや半径が変わるのでインダクタンスも変わり、電流の大きさも変わるから、これらを考慮して挙動を正確に予測することは極めて難しい。今回は0.8mm1mmの両方でコイルを作って優秀な方を採用することにする。

 コイルの半径と長さを決めなくてはならない。コイルの出入り口では磁力線が広がってコイル外部に出ていくから、中心軸方向(以後、プロジェクタイルの飛んでゆく方向を+z方向とする。)の磁場勾配は半径が小さいほど大きくなる。出入り口が細いほど、自由空間へ向かう磁力線の広がりの角度が激しくなる(→磁場の強さが激しく変化する=磁束密度勾配が大きい)のだ。成功している人は直径10mm前後が多いようである。近所のホームセンターで外径8mm内径6mmのアクリル透明パイプを入手できるので今回はこれを使うことにした。

 プロジェクタイルには一般に鉄釘が用いられるようだ。近所のホームセンターで直径5.2mmの鉄釘を見つけたのでこれを使うことにする。6mmガチピタにすると発射の際に注射器のイメージでパイプ内の空気を押し出さねばならなくなり、強いブレーキがかかってしまう。少し隙間が必要なのだ。

 プロジェクタイルの加速において重要なのは磁束密度の強さだけではない。磁束密度の強さの変化度合すなわち中心軸方向の磁束密度勾配が非常に重要である。物質に働く磁気力の大きさは磁束密度の大きさと磁束密度勾配の積に比例することが知られている。
\[F \propto B \frac{dB}{dz}\]
これは磁荷モデルで考えれば想像がつくだろう。プロジェクタイルを微小要素に分割して各要素毎に磁荷分極を考えればいい。

 プロジェクタイルの透磁率は非常に大きい(真空の約200k倍)ので加速コイル中のプロジェクタイルは鉄心の役割を果たす。さらに磁気飽和現象も存在する。プロジェクタイルが存在しない空芯状態のコイルの磁場の計算はそう難しくないが、プロジェクタイルが入ると一挙に困難になる。動的磁場中での加速シミュレーションなど、私のような凡人学生には無理である。やってみないと分からない。

 それでも、大雑把でもいいから予想を立ててみたい。プロジェクタイルをセットする位置は磁束密度と磁束密度勾配の積$B \frac{dB}{dz}$が大きいところが良い。プロジェクタイルの鉄心作用は思い切って無視するとして、空芯コイルの中心軸上での磁束密度勾配の分布を計算してみよう。ところで、プロジェクタイルの中心がコイルの端に来るようにセットした場合に最も威力が上がったと言う人がいた。実際に私が4年前に実験した時も同じような結果になった。次の記事で、こうなる理由を計算で明らかにしよう。

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