僕はチンコがたたない。
僕のチンコがどれくらいたたないかというと、始まりは中学生の頃に遡る。
初めて女の子のおっぱいを触ったのは、中学二年の冬だった。
中学二年の冬は僕にバブルが来た時期で、なぜか色んな女の子にモテだした時期だった。
学校で僕が流行ったと言ってもいい。
レア物のモンスターを狩りにいくポケモントレーナーのように、名の知れた女子が僕を狙って狩りに来た。
誘われたのである。
「誘う」と言っても、LINEの交換などではない。もちろん、エロいことでもない。
授業中に手紙を渡されるようになった
ということだ。
今の時代の若者は信じられないかもしれないが、
「手紙」
というものが男女の主要な連絡手段であった時代があったのである。
僕なんて、手紙をハート型に折ることに人生の全てを賭けていたくらいだ。
そこでバブルの絶頂期にスクールカースト高めの不良女子に気に入られ、付き合うことになった。
人生で二人目の彼女で、一人目に惨めに振られた僕は、なんだか自分が生まれ変わったような気分だった。
スクールカースト高めのヤンキー女子にありがちなのだが、彼女の家は日中親がいない。
ドキドキしながら家に呼ばれ、3回目に家に侵入したときだったろうか。
僕は人生で初めて、女子のおっぱいを触った。
あのときの感触は生涯忘れることはないだろう。
なんか、固かったのである。
漫画で見たおっぱいは、マシュマロのようにフワフワしていて、弾んで揺れるもののように見えた。
しかし、実物のおっぱいは筋繊維と脂肪の集合体である。
そんな簡単に弾まない。
ホットドッグプレスという本で学んだテクニックを使い、とにかくおっぱいを触ってみた。
そこから先は何をしていいのかわからなかった。
あの頃の僕は、キスしたら妊娠すると思っていて、妊娠したら親になって言おうか考えた。
とにかく、夢中で固いおっぱいを触っていたのだけれど、それから何をしていいのかわからなかった。
僕はすごく複雑な気分で初めてのおっぱい体験を終え、寒い冬道を一人、歩いて家路についた。
翌日、学校の「朝の自習」という時間に、田村という男が大声で叫んだ。
「XX(僕の名前)の真似しまーーーーす!」
「もう我慢できねぇ」
「おっぱいペロン」
ヤンキー連中がゲラゲラと笑い、女子は顔をしかめた。
あろうことか、あのスクールカースト高めのヤンキー女(彼女)は、僕の初めての体験をみんなに言いふらしたのである。
なんて頭のおかしい奴なんだ!!
僕はひどく赤面し、その後で、スクールカースト高めの女(彼女)と付き合っていたという強いヤンキーに呼び出しをくらい、ヤキを入れられそうになった。
地方の公立中学校は、暴力が支配する北斗の拳のような世界だ。
なぜ別れた昔の男に
「あいつに手を出すんじゃねぇ」
と脅されるのか意味がわからなかったが、当時身長150センチのチビだった僕は、あっさりと暴力に屈した。
僕とヤンキー女の恋は、圧倒的な"力"によって、1ヶ月で幕を閉じた。
あれ?なんの話をしてたんだっけ。
そうだ。チンコだ。
高校二年生のとき、また彼女ができた。
力のある男がモテる中学時代とは違い、部活で目立っていたり、目立つグループにいる男がモテるのが高校時代だ。
僕はケンカが弱かったので、ケンカ以外の能力が評価される高校は居心地がよかった。
で、高校二年生のときに彼女ができて、また彼女の部屋に行ったとき、僕は再びおっぱいを揉むことになる。
そこからが苦難の始まりであった。
高校になるとアダルトビデオが普通に出回るようになり、予備知識は完璧に身に付けていた。
何をすればいいかもわかっていた。加藤鷹の真似をすればいい。
パンツを脱がせ、パンツを脱ぐのである。
その恥ずかしい行為を、素早くスムーズにこなさなければならない。
先に童貞を卒業した友達に、ブラジャーを外すのは片手だと教わった。
片手でひねるように外せと。
ちんこを排尿以外に使う体験。
そう、僕はやっと、初体験の一歩目を踏み出そうとしていた。
感極まって、パンツを降ろす。
そこで異変に気付いた。
チンコが、ゾウの鼻のようにしなっているのだ。
下を向いて、一向に固くなる気配がない。
降ろしたパンツを何もせずにまた履くという行為は、パンツを脱ぐより恥ずかしい。
結局、おっぱいを揉んでみたものの、そこから何かをすることもなく、できることもなく、服を着て、チャリンコで家に帰った。
あれから僕は、何度初体験にチャレンジし、何度言い訳を重ねたことだろう。
「もっと大事にしたいから、わざとたたないようにした」
「俺達には時間が必要だから、もう少しゆっくりしよう」
「ついやってしまったら困るから、クラスで一番ブスのやつの顔を思い出していた」
結局、初体験を済ませられぬまま、そのときの彼女とは別れた。
高校二年の秋。
僕は汚れなき童貞だった。
たまに彼女ができては、おっぱいを触り、パンツを脱ぎ、パンツを履く日々が続いた。
どうしても、チンコがたたない。
周りが次々と初体験を済まし「卒業」していく中、僕は焦っていた。
栄光はすぐそこにあるのに。
手を伸ばせば届く位置にあるのに。
チンコが、たたない。
そして高3の夏、新しい彼女ができて、一緒に昼寝をして、昼なのに朝立ちを利用して、童貞を捨てた。
そのとき気付いたのである。
チンコがたたない一番の原因はプレッシャーであることに。
女の人にはわからないかもしれないが、僕たちのチンコがたたないのは君たちがブスだからではない。
むしろ、美女すぎる相手の方がチンコはたたないのだ。
なぜなら、プレッシャーがかかるからである。
美女と本番を迎える時は、一打席に人生の全てをかける高校球児のような気持ちでベッドという打席に向かう。
打席に立ち、いざ球が飛んできたとき、というかタマタマを握られたとき、振るバットがないという絶望感。
あの絶望感は、何物にも代えがたい。
プレッシャーがかかると、男のバットは折れてしまうのだ。
だから、女子の皆さん。
もし握るはずのバットがないときは、笑顔でこう言ってほしい。
「小さくても、かわいいよ」
と。
決して不能と罵ってはいけない。
チンコは叩かれて伸びるのではない、褒められて伸びるのである。物理的に。
チンコの拡大にはリラックスが肝要だと気付いたとき、僕はセックス中に無になるという技を覚えた。
無心になるのだ。
森の中にいるように、小川のせせらぎに耳を澄ませるように。
そして、完全なるリラックス状態に身を置いたとき、僕はセックス中に寝落ちした。
油断は禁物である。
ここまで長々と書いてきたが、言いたいことはタイトルの通り、一つだけだ。
チンコがたたない男を、責めてはならない。
むしろ、たたないチンコを、愛せ。
テクニックよりも、大事なのは、愛なのである。
口ではなく、愛と優しさで男を包み込めば、股間のパワーはみなぎることだろう。
この提言が皆さんの参考になれば嬉しい。
僕からは以上だ。