ディラン、沈黙のち直電「大変光栄」

2016年10月30日6時0分  スポーツ報知
  • ボブ・ディランのノーベル文学賞の経緯

 スウェーデン・アカデミーは28日、今年のノーベル文学賞受賞決定に沈黙していた米シンガー・ソングライター、ボブ・ディラン(75)が「大変光栄に思う」と述べて、賞を受ける意向を示したと発表した。今週、ダニウス事務局長にディラン氏本人から電話があり、「授賞のニュースを聞いて言葉を失った」と説明したという。賞を辞退する可能性も指摘されていたが、ようやく態度を明らかにしたディランは12月10日の授賞式にも前向きという。

 答えは風に吹かれている―。代表曲「風に吹かれて」の歌詞のように、ノーベル文学賞の受賞について沈黙を続けてきたディランがようやく態度を表明した。

 28日の英紙デイリー・テレグラフ(電子版)は、米オクラホマ州でコンサートツアー中のディランに単独インタビューし、授賞決定を聞いた直後の感想について「素晴らしい、信じられない。こんなことを誰が夢見るだろう」と話した。また、アカデミーの連絡がつかず沈黙を続けた形になったことについて「I’m right here(俺はここにいるさ)」とだけ話し、詳しい理由は明かさなかった。

 アカデミーは今月13日に授賞を発表。ディランは13日に米ラスベガスでコンサートを行い、14日にはカリフォルニア州インディオで開催された音楽イベント「デザート・トリップ」に出演したが、ノーベル賞には一切触れなかった。

 アカデミーはディランに再三連絡を試みたが、本人に接触できず、17日に断念。アカデミーのメンバーの一人、ペール・ウェストベリ氏がスウェーデンの公共放送のインタビューで「無礼かつ傲慢」と批判し、事務局がこの発言を「個人的な見解。公式の立場ではない」と否定する騒ぎにまで発展した。

 一方でディランは沈黙することで権威を好まぬ姿勢を示しているとみて「彼らしい」と共感する声も広がっていた。音楽評論家の星加ルミ子さんは「反骨精神で、興味ないという姿勢を貫き、授賞式には行かないのだろうと思っていた。肩透かしを食らったような気分で、少しがっかりした。できれば、彼のこれまでのスタンスを貫いてほしかった」とコメントした。

 12月10日にストックホルムで行われる授賞式への出席について、アカデミーは「まだ決まっていない」としたが、テレグラフ紙はディランが「もちろん」「可能なら」出席するつもりだと語ったと報じている。ディスクジョッキーの矢口清治さんは「過去にグラミー賞も受けており、決して賞辞退を嫌悪したり、見下したりするような人間ではないはず。授賞式のスピーチで何を語るのか、または何も語らないのか。とても楽しみだ」と話している。

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