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名駅前に「立体都市」 JRゲートタワー、一部開業へ

JRセントラルタワーズ(左)に隣接し建設中のJRゲートタワー=29日、名古屋市中村区で、本社ヘリ「まなづる」から(田中久雄撮影)

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◆延べ床面積、国内最大規模に

 JR東海による名古屋・名駅の新たな複合ビル「JRゲートタワー」が十一月七日、オフィスフロアを先行開業する。ランドマークでもある駅ビル「JRセントラルタワーズ」と地上一〜十五階で接続し、二棟合計の延べ床面積は約六十七万平方メートル。一体の建物とみれば、国内の建築物で最大規模だ。二〇二七年のリニア中央新幹線の開通に向け、駅前に巨大な「立体都市」が誕生する。

 ゲートタワーは、松坂屋名古屋駅店などが入居していた名駅北東側の「名古屋ターミナルビル」の跡地に建設された。高さ約二百二十メートル、地上四十六階、地下六階建てで、総事業費は千二百億円。地下五、六階部分はリニア駅の一部になる。新幹線の輸送収入がグループ全体の売上高の約七割を占めるJR東海にとって、新ビル事業は経営の多角化を目指す一手となる。

 セントラルタワーズとつながる地上一〜十五の各階はそれぞれ広さが約二万平方メートルで、ナゴヤドームのグラウンドの一・五倍に相当する。「フロアが一体化することで、入居するテナントの自由度が高まる」と同社。タワーズに入居するジェイアール名古屋高島屋はゲートタワーの二〜八階に増床し、売り場の配置を再構成。両ビルの十二、十三階には店舗が国内最多のレストラン街も出現する。

 オフィスや商業施設だけでなく、保育所や医療機関、フィットネスクラブなど多彩な施設が入居するのも特徴で、ゲートタワーとセントラルタワーズを運営するジェイアールセントラルビル(名古屋市)の担当者は「二つの駅ビルは、垂直方向に伸びる新たな都市のようなもの」と語る。

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 名駅周辺では昨年から、大名古屋ビルヂングやJPタワー名古屋など、新たな超高層ビルが次々と開業し、周辺地域から流入する労働人口は二万三千人に達するとの推計もある。

 ゲートタワーは、十一月七日から高層階のオフィスフロアの入居が始まり、来年四月には商業施設やレストラン街、ホテルが開業。一階のバスターミナルは来年四月以降の供用開始を予定している。

◆人口急増 防災対策が急務

 リニア開通を見越して名駅前に林立する高層ビル。会社員や買い物客など昼間人口が急増して経済活動は活発化する一方、大災害が発生した時の帰宅困難者への対策など新たな課題への対応が急務だ。

 愛知県や名古屋市などは、南海トラフ巨大地震が発生した際、名駅周辺で七万七千人が行き場に困る状態に陥ると推計する。このうち勤務先や通学先に戻ることが可能な人を除いた帰宅困難者は三万四千人。対応できる受け入れ施設は一万六千人分しかなく、一万八千人分が足りない。

 ただ、この推計は十数年前の調査データを使っており、JRゲートタワーなど相次ぐ高層ビル建設で名駅周辺の人口が急増する影響は、まだ反映されていない。行き場を失う人は実際さらに膨らむ可能性がある。

 今年四月には総務省の調査で、名古屋市が名駅周辺で被災した帰宅困難者に水などを提供する「帰宅支援ステーション」に指定した店舗の地図が二〇〇八年三月以降更新されず、16%が既に閉店していることも明らかになった。非常時の安全確保が問われている。

 

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