3 Lines Summary
- ・南シナ海問題は中国と平和的な解決を望む
- ・オバマ大統領にはきつい言葉を発したが、失礼ではない
- ・汚い言葉を使わないと誰も私の主張を聞いてくれない
10月25日の訪日直前、フィリピンのドゥテルテ大統領が、日本メディアとして初めてFNNの単独インタビューに応じた。
日本・アメリカ・中国との関係や自らの“暴言”などについて、30分間にわたって本音を語った。
中国と喧嘩したくない
―中国とアメリカ、どちらが大事だと思いますか?
それは内容によります。しかし、中国に耳を傾ける可能性は排除したくありません。
―南シナ海問題は?
中国側は問題を認識しています。彼らは自らの領地と主張しており、そうだと言うのなら尊重しましょう。しかし、問題は法廷ではそうはなっていないことです。ですから現在過剰な要求をしても仕方ない。長期的、短期的に様々な問題となってくる。国際法に任せたいと思っています。すべての論争は平和的に解決する必要がある事を強調したいと思います。
―最近の中国訪問で、貿易取引に関してはもっとフィリピン側に有利な交渉ができたのではないでしょうか?もう少し中国には厳しくしても良かったのではないでしょうか?
そんな必要はありません。仲裁規則の結果について話す時が来るかもしれないが、その時は中国に対して対話をするでしょう。南シナ海の問題についてですが、今は、そのような要求を行う時期ではないんです。私は大統領に就任したばかりで、誰とも喧嘩したくはない。むしろ長期的な計画を作って、対話をするための準備を進めたいし、平和的な解決を望んでいます。
私は口を制御するのが難しい
―誰とも喧嘩したくないと言いましたが、オバマ大統領に対して失礼な発言を行いましたよね?
それは、僕ではなく、彼らがけしかけたんです。僕が喧嘩をけしかけたわけではない。確かにきつい言葉を発しました。でも、失礼というわけではありません。あれは、アメリカの言葉でしょ。彼らが毎日使っている言葉だ。罵りの言葉などは、映画を見れば、執務室でも使用されている。大事なことは、僕が始めたわけではないということです。
―では、再びアメリカ大統領に同様の言葉を発するんですか?
そうだなぁ。私は口を制御するのが難しいんだ。トランプ氏と同じですよ。トランプがよく悪口を言うのなら、聞いてやろうと思いますよ。
汚い言葉をわざと使った
―なぜ、口からそのような言葉が出てくるのでしょうか?性格ですか?本心なのですか?
君たちは面白いね。それでは説明しよう。昔、選挙活動をしていた時、市長だった頃は23年間にわたって、選挙が行われる度に「ドラッグとの戦争」の問題が話題になった。ドラッグとの戦争の話をするたびに私の人気は高まっていった。
昔の映像を見てもらえば分かると思いますが、他にも4、5人の大統領候補がいました。問題が注目され始めたのは、私の人気が上昇し始めた頃です。劣勢となった候補者が私の事を悪く言い始めて、人権問題も浮上し始めた。NGOの陰謀説やら人権主義がどうのなどとメチャクチャ言い始めた。私はそれに対して、「深刻な問題は300万人の人間が麻薬中毒者として毎日テレビで放映されているということで、その300万人の麻薬中毒者が国中に蔓延している」と説明しようとしていたんです。しかし、それには誰も注目せず、紹介されたのは殺害された事実だけでした。政府がまるで3千人を殺害されたかのように報道されていたんです。その中には警察官などの殺人なども含まれていた。つまり、ドラッグ戦争だということです。
私は「戦争だ」と言っただけで、警察に対して殺害を指示した覚えはない。彼らはドラッグ一掃キャンペーンにおいて何人の警察官が命を落としたか、軍人が死亡したかなどの報道は一切行わず、法治外の殺害だけに注目している。
彼らは後ろで手を縛られてひざまずいて殺害された事に注目していて、確かにそのような処刑が行われたのは事実だが、国家が指示して死体にプラスチックを巻き付けるなどの行為は行っていない。政府が処刑するならば頭に一発打ち込めば済む話で、わざわざ巻き付けて投げ込むなど不要です。警察の襲撃が起こった時も、我々の犠牲者だって多かった。
その時も人権団体は何も行わず、私が攻撃されていた時も誰も注目してくれなかった。だから、どうやったら注目されるか考えたんです。とにかく、国民を喜ばせたい、だから、私はそういったことを言い、彼らは私の暴言を聞いて、「あそこで叫んでいる奴は誰だ。汚い言葉を発している奴がいるぞ」と注目するようになったんです。だからあなたたちも今こうやって注目していますよね。
―汚い言葉をわざと使ったのですか?
もちろんそうです。そうしないと誰も私の主張を聞いてくれないからです。国務省の代表もやってくるし、EUの人も話を聞きたいと言っている。町の人も私の話を聞きたいと言う。なぜ、私の主張も聞かずに責めたのだと聞きたい。
(後編に続く)
『“フィリピン暴言大統領”の本音』(全3回)
前編:「天皇陛下にお会いしたら言葉が出ないかも」“暴言大統領”の胸の内
中編:「私はトランプと同じ」“暴言大統領”が汚い言葉を使う理由(このページの記事)
後編:「オバマ大統領と話したくない」“暴言大統領”の外交戦略