2.コテツと“じゅげむ”
秋子
- 「コテツ、“じゅげむ”のお話って知っている?おもしろいお話だから聞いていてね。」
コテツ
- 「・・・(反応無し)」
秋子
- 「むかしむかしあるところになかなか子どもに恵まれない夫婦がいました。
しかしあるとき、玉のようにかわいらしい男の子を授かることができました。
待ちに待った男の子ですから、お父さんもお母さんもその子が元気で健やかに大きくなるような名前にしたいとお寺のお坊さんに相談に行きました。お坊さんは名前のいくつかの候補を上げてくれました。お父さんもお母さんもその中からどの名前がいいか悩みましたが、決められずに結局すべてを使ったつぎのような名前をつけたのです。
- “寿限無寿限無五劫のすりきれ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶら小路のぶら小路パイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助(じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつくうねるところにすむところやぶらこうじのぶらこうじパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナのちょうきゅうめいのちょうすけ)”
- その名前のおかげか、“じゅげむ”は大病することもなく元気にすくすくと大きくなりました。お友達も増えていろいろなところに遊びに行くことも多くなりました。」
コテツ
- 「・・・(反応無し)」
秋子
- 「そんなある日“じゅげむ”がおともだちとけんかをして、おともだちの頭にたんこぶを作りました。お友だちは泣きながら“じゅげむ”のお母さんのところに行きました。
おともだち
- 「“じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつくうねるところにすむところやぶらこうじのぶらこうじパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナのちょうきゅうめいのちょうすけ”君のおばさん、え〜ん、え〜ん、“じゅげむじゅげむごこうの・・・ちょうすけ”君がひどいんだよ〜、え〜ん、え〜ん。」
お母さん
- 「あらま、うちの“じゅげむじゅげむごこうの・・・ちょうすけ”がどうしたっていうの?」
おともだち/
-
- 「あのね、“じゅげむじゅげむごこうの・・・ちょうすけ”君がね。え〜ん、え〜ん。」
お母さん
- 「泣いてばかりいてはわからないわよ、一体うちの“じゅげむじゅげむごこうの・・・ちょうすけ”が何をしたんだい?」
おともだち
- 「え〜ん、え〜ん。ぼく“じゅげむじゅげむごこうの・・・ちょうすけ”君になぐられてあたまにたんこぶができちゃったんだよ。痛くて痛くて仕方がないのさ。」
お母さん
- 「どれどれ?どこさ、たんこぶなんて無いじゃないかい?」
おともだち
- 「あまりに“じゅげむじゅげむごこうの・・・ちょうすけ”君の名前が長すぎて、おばさんとお話している間に、たんこぶが引っ込んじゃったんだよ、え〜ん、え〜ん。」
」
- と、ここまで話したところで、コテツの顔がニヤリとほころんだ。
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