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「甘えられない時代へ」
 竹中平蔵が語る仕事-2
写真
グローバル化は、足元から来る

生活の何が変わるのか

 私が大学を卒業して社会に出た頃、もちろん国際化の中にいる自分を意識していました。でもそれは外国語をものにして世界の動きを知り、もっと学んで仕事に役立てたいという思いだった。それは目標とすべきことだったのですね。しかし、今私たちが迎えているグローバル化というのは、まったくそんなことを意識しない、ごく普通の生活を根本から変えていくものです。

 東西冷戦構造の時代には、地球上で市場経済人口は27億人くらいでしたが、現在は、ほとんどの国がみな市場経済に入ってきてその人口は約60億人を超えています。そのため、マーケットが2倍余り広がった、可能性が大きくなったと世界中が必死でチャレンジを始めています。しかし裏を返せば、資本主義経済のライバルが2倍以上になったということでもあり、競争があっという間に激化した。これがグローバル化の重要な一点です。

 そしてもう一つの大変重要な変化がデジタル化です。この技術革新はかつての産業革命に匹敵するもので、一体それが何なのかをはっきりととらえておかないと、押し寄せている大波を理解しにくい。このデジタル化によって、世界は同じ土俵の上にいや応なく上がったからです。

労働者の収入も
世界基準になっていく

 デジタルというのは、数字に変えること。映像、音楽、文字情報のすべてを数字に変えて圧縮し、速い速度で瞬時に安くどこにでも送ることができます。例えばIP電話を考えてもらうと分かりますが、隣の部屋の人に電話しようが、地球の反対側に電話しようがコストは同じ。長距離料金なんて関係なくなるのですね。私自身が先日も驚いたのですが、例えばブラジル銀行東京支店のオペレーターに電話したら、そのオペレーターは日本語を話せるのですがサンパウロにいるのです。

 これでどういうことが起きるのか。つまり電話オペレーターの賃金はサンパウロを基準にしていいことになる。もっと人件費の安いインドや中国でも日本語を話せるスタッフはいるでしょうから、現地の賃金が基準になっていき、今まで存在していた先進国と発展途上国の賃金格差が、一定に収斂(しゅうれん)していくわけです。ジャーナリストであるトーマス・フリードマンの著作『フラット化する世界』が指摘した現実は、まさに今日私たちに起きていることなのですね。

 現在の生活水準を維持したいが、努力するのは嫌だという願いは無理な時代になりました。でも、私は思います。人には自分の生き方を選ぶ自由があると。今までどおりに普通に仕事をしていて、グローバル化やデジタル化によって生活水準が下がるのが当たり前の時代なら、あくせくして高い水準なんか望まないという人生観も尊重したい。仕事観は人それぞれでもあるのですから。(談)

たけなか・へいぞう ●慶應義塾大学総合政策学部教授・グローバルセキュリティ研究所所長、経済学博士。1951年和歌山県生まれ。一橋大学経済学部卒。日本開発銀行、大蔵省財政金融研究所主任研究官、大阪大学経済学部助教授、ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを経て、2001年小泉内閣で経済財政政策担当大臣。02年金融担当大臣、04年郵政民営化担当大臣を兼務、参議院議員当選。05年総務大臣を務める。日本経済研究センター研究顧問、アカデミーヒルズ理事長、(株)パソナ取締役会長を兼務。