【ソウル=加藤宏一】韓国政府は日本と韓国で防衛秘密を共有するのに必要な軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結に向けた交渉を再開することを決めた。国防省当局者が27日明らかにした。近く日本と実務協議に入る。北朝鮮の核・ミサイルの脅威が高まる中、日韓の防衛協力の拡大が不可欠と判断。締結されれば、両国は緊急時の対応の幅が広がる。
国防省当局者は「日本との情報協力を深め、拡大することは安全保障上の利益にかなう」と指摘。「国民の支持を土台に透明に手続きを進める」と強調した。韓国は早期の交渉妥結を目指す考えだ。27日付の韓国紙・東亜日報は年内の締結を目標にしていると報じた。
日韓当局間は現在、日米韓3カ国で防衛秘密を共有する枠組みを通じて情報をやりとりしているが、米国が介在することから、緊急時の対応などでは課題があった。韓国側にはGSOMIA締結によって日本が運営している人工衛星による情報の提供などを期待しているとの見方もある。
GSOMIAの締結を巡っては2012年「密室処理」として国内世論の反発を浴びた韓国政府が署名直前に延期を申し入れ、棚上げされた。
杉山晋輔外務次官は27日、韓国が日本との交渉再開を決めたことについて「真摯に対応したい」と述べ、日本政府として応じる考えを示した。