クリントン氏のメール問題 FBIが捜査を再開

クリントン氏のメール問題 FBIが捜査を再開
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アメリカ大統領選挙のクリントン候補のメールをめぐる問題で、FBI=連邦捜査局は、ことし7月に捜査を終結したものの、このほど新たなメールの存在がわかったとして捜査を再開し、投票日まで11日となった選挙戦の波乱要因となるか注目されます。
民主党のクリントン候補が、国務長官在任中に私用のメールアドレスを公務に使っていた問題で、捜査を行ってきたFBIは、機密情報の取り扱いが極めて軽率だったとする一方、違法とまではいえないとして、訴追を求めないことを決め、ことし7月に捜査を終結しました。

しかし、FBIは28日、アメリカ議会に書簡を送り、「捜査に関係する新たなメールの存在がわかった」として、捜査を再開したことを明らかにしました。
FBIはこれから内容を精査するということで、捜査にどの程度の時間がかかるか予測できないとしています。

クリントン氏の陣営は声明を出し、「投票日まで11日となった時期にこのようなことが起きるのは異常だ。FBIは速やかに詳しい内容を明らかにすべきで、ことし7月と違う結論に達することはないと確信している」として、クリントン氏が訴追されることはないと主張しました。

一方、共和党のトランプ候補は28日の演説で、「極めて大きなニュースだ。クリントン氏ほど腐敗している人は見たことがなく、大統領にしてはいけない」と訴え、攻勢を強める構えです。

現在、各種の世論調査の支持率の平均値では、クリントン氏がリードしていますが、捜査の再開が選挙戦最終盤の波乱要因となるか注目されます。

“捜査再開は波乱要因” リスク回避で円高に

28日のニューヨーク外国為替市場は、民主党のクリントン候補のメール問題が大統領選挙に向けた波乱要因になるという見方から、リスクを避けようとドルを売って円を買う動きが急速に強まり、円相場は一時ドルに対して1円以上値上がりしました。

28日のニューヨーク外国為替市場は、この日発表されたアメリカのGDP=国内総生産が市場の予想よりよかったことからドルが買われ、円相場は1ドル=105円台前半から半ばの水準で取り引きされていました。
ところが、その後FBI=連邦捜査局が民主党のクリントン候補のメール問題について捜査を再開したことが明らかになると、一転してドルを売って比較的安全な資産とされる円を買う動きが急速に強まりました。
このため円相場は1円以上値上がりし、一時1ドル=104円台前半まで円高が進みました。

市場関係者は「終結したはずのメール問題で捜査が再開されたことを投資家は驚きを持って受け止めている。メールの詳細がわからないため、選挙戦への影響は不透明だが最終盤になってのサプライズに警戒感が高まった」と話しています。