ソウル中央地裁は26日までに、北朝鮮からの脱北者、Aさん(47)、Pさん(30)が北朝鮮国内の収容所にいる家族の解放を求めて申し立てた人身保護請求を棄却した。
原告は「家族が北朝鮮の国家安全保衛部第7局によって、咸鏡南道の耀徳収容所に違法に監禁されており、収容を解除するよう決定を求める」としていた。これに対し、同地裁は「人身保護法は監禁されている人の住所地を管轄裁判所として定めており、北朝鮮の収容所の場合、ソウル中央地裁には管轄権がない」とし、「裁判の進行も事実上不可能で、適切な裁判結果を担保できない」と指摘した。
今回の訴訟は今年4月、民主社会のための弁護士会(民弁)が行った人身保護救済に対抗し、脱北者が「北朝鮮にいる家族を救出してほしい」と訴えたものだ。民弁は脱北した女性12人を国家情報院が不当に監禁しているとして、女性らの家族の委任を受け、身柄の保護を求めた。人身保護請求は本来、精神病院などの収容施設に閉じ込められた人を自由にするための制度であり、民弁が国家情報院による「監禁」を理由に人身保護を請求することには論議があった。
裁判所は今年9月、民弁が脱北女性の家族から委任を受けたことが証明されておらず、既に女性らは北朝鮮離脱住民保護センターを退所しているため、これ以上裁判を行う必要はないとして、民弁の請求を棄却した。
ソウル中央地裁はまた、日本人の原告Kさんが1959年から84年までに強制的に北朝鮮に送られた在日韓国・朝鮮人と日本人9万3340人の救出を求めた案件についても、「人名が特定されていない上、原告は法が定める救済請求者には当たらない」として棄却した。