朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に近い「影の実力者」とされる女性、崔順実(チェ・スンシル)氏(60)が大統領府(青瓦台)を通じ、大学入試情報や自身が保有する土地周辺の開発情報を受け取っていたことが分かった。朝鮮日報系のテレビ局、TV朝鮮が26日、報じた。崔氏は当時、スポーツの特技で大学進学を目指していた高校3年の娘を持つ親であり、開発によって地価が左右される土地の保有者でもあった。崔氏は自分の利益に直結するような政府のハイレベルな内部情報を事前入手していた疑いが強まった格好だ。
TV朝鮮が崔氏のオフィスで入手した文書には、2014年の「体育特技者大学入試関連対策」というものが含まれていた。崔氏の娘で乗馬選手のチョン・ユラ氏(20)は当時高校3年で、同年末に梨花女子大にスポーツ特技選抜で合格した。大統領府の教育文化首席秘書官が14年4月29日に作成した「スポーツ特技者入試不正根絶案」という文書には、スポーツを特技とする受験生の選考で主観が影響する面接の割合を下げ、個人の記録指標などの基準をより活用すべきだとの内容だった。
こうした大統領府の文書が崔氏にファクスで送付されたのは、文書が作成された当日の29日午後9時4分だった。同文書は翌年の16年度の入試関連資料だが、崔氏が入試をめぐる政府方針をあらかじめ入手していたとすれば、他人よりも早く入試動向を把握できていたことになる。
崔氏は13年10月には国土交通部(省に相当)長官が大統領府に報告した「複合生活体育施設追加対象地検討案」を入手し、個人の事務所に保管していた。文書には国土交通部が京畿道の河南市、南楊州市、楊平郡の3カ所を生活体育施設整備の候補地とし、各候補地の立地条件を分析した内容が含まれている。国土交通部は美沙里ボート、カヌー競技場と近い河南市の候補地を立地条件が最も良いと評価していた。
美沙里の候補地は、崔氏が08年から15年まで保有していた河南市新長洞の2階建て店舗と直線距離で約500メートルしか離れていない。この土地は大統領府への報告以降、「開発有力」とのうわさが立ったが、まだ開発事業は確定していない。崔氏は問題の土地と建物を08年に34億ウォン(約3億1300万円)で取得し、7年後の15年4月に52億ウォン(約4億7800万円)で売却しており、18億ウォン(約1億6600万円)の売却益を得た。国土交通部は「大統領府に報告した文書がどうやって崔氏の手に渡ったのか理解できない」とコメントした。