貞本エヴァへの期待

連載開始からすでに○年たった貞本エヴァ、いよいよ終幕へ向かって動き出したようではあるけれど、隔月掲載ともったいぶることおびただしい。
それでも「ここがアニメ版と違う!」とか、喜ばずにはいられない点もチラホラ見受けられる。
たとえば、「カヲル登場→いきなりシンジとおホモ達」とならないのは、かなり新鮮だ。5月号なんて、アスカのことで腹を立てたシンジがカヲルの胸ぐらを掴んじゃうし。
単行本のあとがきで、貞本氏がアニメ版とマンガ版のキャラの違いについて語っているけど、ストーリーの流れは変更しないことを明言しているので、やはり最後はシンジがカヲルを握りつぶすのだろうけど、そのことでシンジが抑鬱状態に落ち込んだりはしないのだろう。
おそらく、自分が生き残るために他者を殺すことをシンジが受け入れるのではないか。そんな気がする。
マンガ版の冒頭のシーン、シンジの独白は、明らかにこの物語が生きることの意味を問うお話であることを示している。

僕には将来なりたいものなんて何もない
夢とか希望のことも考えたことがない
14歳のいままでなるようになってきたし
これからもそうだろう
だから 何かの事故やなんかで
死んでしまっても別に
かまわないと思ってた
(volume 1からの引用)

生きることの意味の喪失。
虚無的な人生観。
ところが、この問いに対する答えは意外に早く訪れた。
ヤシマ作戦後にシンジは綾波を自分の仲間として認め、一緒に生きる決心をしているから。事実上貞本エヴァはここで完結しているといっても過言ではない。もうアスカも加持もいらね〜ってカンジ。
したがって、物語の結末では、シンジがより積極的に「生きていくこと」を選択するのではないか。
たとえば、アニメ版では曖昧にしか示されてなかったが、カヲルを殺さなければ自分を含む人類が滅びてしまうことを強く意識しての決断とか。きっとそうだ。そのほうが自己主張的でカッコイイ。
貞本氏はアニメ版より、自分のシンジの方がカッコイイと密かに自負しているにちがいない。やっぱり連載が少年誌だから、主人公はカッコイイに限る。アニメ版(とくに映画版)は徹底的にカッコわるかったし、あれが変にかっこよかったら高い年齢層の観客はシラケてしまったろう。

いずれにせよ、貞本エヴァ期待大である。
かならずスッキリ完結すると信じている。

(2003/6/3)


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