【ワシントン=川合智之】米大統領選の民主党候補、ヒラリー・クリントン前米国務長官(69)が在任中に公務で私用メールを使った問題で、米連邦捜査局(FBI)は28日、打ち切った捜査を再開したと明らかにした。問題に関連する可能性のあるメールが新たに見つかったためという。優位に選挙戦を進めるクリントン氏にとって打撃となることもあり得る。
米メディアが一斉に報じた。コミーFBI長官は同日、議会にあてた書簡で「捜査に関連するとみられるメールの存在が判明した」と指摘した。捜査担当者から27日にコミー氏に報告があったという。書簡では「(メールが)重要かどうかはまだ評価できない」とし、調査を終えるまでどの程度の時間がかかるかは分からないとしている。
米メディアによると、新たなメールは別の事件の捜査で見つかった。陣営幹部フマ・アベディン氏の夫アンソニー・ウィーナー元下院議員が起こしたわいせつ事件を巡り、押収したウィーナー氏の電子機器にメールが保存されていたという。
共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)は28日声明を出し「クリントン氏の腐敗はかつてない規模だ」と批判した。クリントン氏は同日、アイオワ州で緊急記者会見を開き「(FBIは)速やかに説明する必要がある」と述べ、さらなる情報開示を求めた。
FBIは7月、クリントン氏のメール問題について「極めて軽率だった」としながらも「意図的に違法行為をした証拠は見つからなかった」と指摘し、訴追を見送っていた。