大鹿村で計画されているリニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)をめぐり、村は19日、工事着手の前提となる確認書をJR東海と取り交わし、内容を公表した。確認書の締結を受け、21日に村議会が柳島貞康村長を交えて協議し、工事着手に同意するか判断する。
全14条から成る確認書は、村内の工事用車両の通行が増加するのに伴い、一般車両や村内の環境への影響を低減することを目的としている。
工事用車両の通行ルートは県道松川インター大鹿線、県道松川大鹿線、国道152号、県道赤石岳公園線、村道沢戸河原線、村道上蔵河原線、村道赤石線の7路線。このうち村内中心部を走る国道152号は小渋川左岸の迂回ルート完成後は通行を回避する。JRは安全対策として必要な箇所に交通誘導員を配置し、通学時間帯での車両台数の低減に努めるとした。
村の役目として、工事用車両の台数を低減させるため村内で残土の有効活用を図るよう努力することを明記。8カ所の残土の本・仮置き場の候補地に加え、深ケ沢地区の村有地を候補地とするよう努める―とした。また工事用車両の通行や工事の影響についての苦情などに対応する窓口を設ける。
JRは17日に確認書案を提示。翌日に開かれた村議会からの指摘を受けて一部修正し、締結となった。
村議会側が修正を求めていた工事影響の低減対策では「追加の環境保全措置をとるなど」の文言を追加した。村は同日、村ホームページを通して確認書を公表した。
柳島村長は「工事に対する住民不安が残る中、影響を少しでも低減できるようJR側と協議してきた。こちらが申し入れた通りに修正がされ、配慮していただいた内容となったと思う」と話した。
一方、工事着手についてJRは、村議会から出された意見書に基づいて村長と村議会の同意を得た後としている。
柳島村長は「確認書の締結が同意の前提」との認識。熊谷英俊議長は「確認書の締結後に議会として判断したい」としている。
村議会は21日にあらためて協議の場を持ち着工への同意について判断するが、議長を除く7人のうち4人が工事に賛成している。