バイト平均時給1000円超 「さらに上がる見込み」で企業は体力勝負

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   2016年9月に求人広告を出した全国のアルバイトの平均時給が、1000円の大台を超えたことが、人材サービス会社「インテリジェンス」(東京都千代田区)の調査で分かった。2002年の調査開始以来、初めての4ケタの大台乗せだという。アルバイトやパートの時給アップは「脱デフレ」に向けた動きとして歓迎されるものの、年末の繁忙期を控え、企業にとっては経営圧迫の一因にもなりかねない情勢だ。

   全国の平均時給は1003円で、前月より11円、前年同月より25円、それぞれ上昇した。エリア別では関東が最も高く1062円。1000円を超えたエリアは関東のほかは関西(1013円)だけだった。地域格差は依然、顕著なものの、調査した全国5エリア(他に北海道、東海、九州)すべてで前月と前年同月をいずれも上回った。特に、九州(889円)は37か月連続の増加で、地方でも上昇基調が続いていることが分かった。

  • アルバイトの平均時給が初の4ケタに(画像はイメージ)
    アルバイトの平均時給が初の4ケタに(画像はイメージ)

社会保険の適用拡大の影響も

   職種別では、上げ止まりの傾向が見えていた「フード系」(969円)や「販売系」(916円)を含め、全8職種のうち7職種で前年9月より上昇した。最も高いのは薬剤師などの「専門職系」で1143円だった。

   平均時給が1000円を超えた理由について、インテリジェンスは、10月に予定されている国の最低基準の引き上げ(全国平均で過去最大の25円)に備え、企業側があらかじめ対応を取ったためと見ている。ただ、年末が近づく11月以降は、人手がいっそう必要となることから、「時給はさらに上がる見込み」という。

   人手不足が強まる中、アルバイトやパートは異業種の間でも奪い合いになっているとされる。このため、特に、時給が比較的低いとされる外食や小売り企業を中心に人手確保は一段と困難になっており、時給引き上げの動きが続いている状況だ。一方、人件費の上昇はコスト増となってじわじわ企業の首を絞めている。「人件費がさらにかさめば経営に影響を及ぼしかねない」(外食大手関係者)との懸念は着実に広がっている。

   こうした中、10月からは社会保険の適用が拡大され、加入対象となる年収が130万円以上から106万円以上に引き下げられた。「保険料の支払いを避けるため、働く時間を減らす動きが実際に出ている」(経済アナリスト)との指摘もあり、人手不足はさらに深刻化しつつあるといえる。十分な人手を確保するため、企業が直面する環境は厳しさを増しており、「人件費の上昇に耐えられるかどうか、体力勝負になってきている」(同アナリスト)との見方が強まっている。

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