【歴史戦】
中国、沖縄の領有権主張 蒋介石 したたか二枚舌 戦況見て変心
戦後の46年2月、ヤルタ密約が公表された直後の駐重慶英国大使が外務省に送った公文書では、「時事新報」が、「ソ連が帝政ロシア時代に戻って領土要求するなら、中国は満州(清)時代に立ち戻ってビルマ、インドシナ、琉球群島、樺太まで要求する」と主張しており、中国が混乱に乗じてカイロ宣言などを空文化して琉球を取ろうと狙っていたことは明らかだ。
しかし仏大使が、対外宣伝を担った「時事新報」を「不適切な集団」と評して報告し、この電報を傍受した英国も最高機密文書「ウルトラ」にして英首相のチャーチルに報告していることから、英仏両国は、カイロ宣言を無視した蒋介石の沖縄領有権主張を批判的に受け止めていたようだ。
一方、ルーズベルト大統領はソ連のスターリン首相には千島列島の領有を持ちかけ、ヤルタ会談の密約を経て、ポツダム宣言受諾後にソ連が侵攻、不法占拠し、現在も未解決の北方領土問題となっている。(ロンドン 岡部伸)