若狭勝氏の事務所で笑顔の小池百合子都知事=東京都豊島区で2016年10月23日午後8時、小出洋平撮影
30日開塾 「新党」明言避けるが「選挙ノウハウ教えます」
東京都の小池百合子知事の政治塾「希望の塾」が30日、開塾する。参加者は4500人超で、改めて小池人気を示した。希望者には塾内の「選挙講座」で選挙のノウハウを教える予定で、来夏の都議選を見据えた「小池新党」の布石との見方もある。小池氏自身は新党結成について明言を避けているが、塾関係者は「いつでも衣替えできる体制を作る」と意気込む。
希望の塾は9月29日に塾生募集を始めた。全国から応募が殺到し、1000~1500人程度とした当初の予想を大きく上回った。開塾日は全員を会場に収容しきれないため、4回に分けて講義する。既成政党に所属していても参加でき、現職都議や区議などもいる。職種も弁護士、医者、会社員など幅広く、女性の参加も多いという。
初回の講師は、都知事選で小池氏を支援した高野之夫・豊島区長が務め、地方自治について話す予定。第1期は来年3月まで月1回のペースで開かれ、参加者はリポートの提出が求められている。会場に足を運べない塾生はビデオ映像での受講も可能だ。
注目されるのは、政治塾が新党に発展するのかどうか。小池氏は「政治を学ぼうという人の受け皿、学びの場。これ以上でも以下でもない」と今後の動向には踏み込まない。
だが、塾の応募者に送られた参加通知メールには選挙への出馬意欲や出馬を希望する選挙の種類を尋ねるアンケートが添えられている。開催予定の選挙講座についても、事務局の一人は「新党に向けた候補者の発掘、養成のつもりでやる」と断言する。
衆院東京10区補選の結果が新党結成の追い風になったとの見方もある。当初は小池氏の後継者の若狭勝氏が、民進党候補に3倍近い差をつけて圧勝するとの予測もあった。だが投票率は2014年12月の前回衆院選(53.56%)を18.71ポイント下回る34・85%にとどまり、得票数は2倍に届かなかった。小池氏周辺からは「若狭氏が自民党公認で立候補したことで無党派層が離れた。世論は自民との協調を求めておらず、新党結成への流れは強まった」との声も出ている。
小池氏側近は「新党を作るかどうかは小池さんの判断だが、来夏の都議選には塾生を中心に候補者を出すのではないか。一定数が当選すれば議会運営でも主導権を握れる」と話す。【円谷美晶】