振り込め詐欺事件で執行猶予期間を過ぎた東京都内の男性が、逮捕歴が表示される検索結果などの削除を米グーグルに求めた訴訟の判決で、東京地裁(岡崎克彦裁判長)は28日、男性の請求を棄却した。「振り込め詐欺の被害は今も大きく、公益性が強い」として削除を認めなかった。
判決理由で岡崎裁判長は「男性は詐欺の(現金)引き出し役グループのリーダー格であり、公共の関心は薄まっていない」と指摘。男性が会社社長であることを踏まえ、過去の逮捕歴をインターネットで低コストで知ることができることに意義があるとした。男性側は控訴する方針。
判決によると、男性の名前などを入力して検索すると、10年以上前の逮捕当時の記事を転載したページが表示された。男性は「更生を妨げられない利益が侵害されている」と訴えていた。
検索結果の削除をめぐっては、訴訟や仮処分の申し立てが相次ぎ、司法判断が分かれている。