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【政治】

来年度にも給付型奨学金 背景に格差や18歳選挙権

 政府は来年度にも、大学生らを対象とした返済不要の給付型奨学金制度を導入する方針を示している。与野党は少なくとも二〇〇九年の衆院選公約から要求してきたが、政府は財源不足などを理由に消極的だった。政府が方針を転換した背景には、教育費負担の増加、格差問題、十八歳以上への選挙権年齢引き下げがある。 (大杉はるか)

 安倍晋三首相は八月の記者会見で、給付型奨学金について「来年度予算編成の中で実現できるよう、具体的な検討を早急に進める」と述べた。

 自公両党は〇九年衆院選以降、給付型奨学金の創設を公約に掲げている。民進党も前身の民主党を含めると、一三年参院選から公約に盛り込んだ。共産党や社民党も一貫して創設を求めており、七月の参院選にも公約に明記した。

 一九九〇年代後半から最近まで世帯収入が減少傾向だったのに、授業料が上がって家計を圧迫していることが背景にある。独立行政法人「日本学生支援機構」の奨学金利用者は、有利子と無利子を合わせると、二〇〇九年度の百十五万人から、一三年度は百四十四万人に増えた。

 文部科学省の有識者会議「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」も一四年の取りまとめで教育費の重さを指摘した。しかし財源不足などを理由に給付型導入は見送られてきた。

 政府は一六年六月にまとめた「ニッポン一億総活躍プラン」に、「給付型支援拡充」を明記した。「格差が固定化せず、誰にもチャンスがある」社会づくりの一環だ。同プランは、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられてから初の国政選挙として、若者の投票行動が注目された参院選の直前に公表された。

 政権与党の自民党は、住民税が非課税の低所得世帯を対象とし、一定の成績基準や学校推薦があることを条件に、月額三万円以上を支給する制度の創設を検討している。

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