【コラム】シンガポールの意地が韓国に投げ掛けるメッセージ

【コラム】シンガポールの意地が韓国に投げ掛けるメッセージ

 先週北京ではシンガポールの駐中大使と官営メディア、環球時報の編集長が公開書簡で対決するという珍事が起きた。普段から過激な記事で知られる環球時報は中国共産党機関紙、人民日報の姉妹紙だ。

 発端は9月中旬、ベネズエラで開かれた非同盟諸国会議の首脳会議に関する環球時報の9月21日付の報道だった。同紙はシンガポールが最終文書に国際仲裁裁判所の南中国海(南シナ海)に関する判決内容を盛り込もうとしたが、他の参加国の反対で失敗したとし、「シンガポールが南中国海仲裁を無謀に取り上げた」とする見出しを付けた。さらに、協議を見ていたかのように、「他国の代表が反対すると、シンガポールの代表は慌てて、怒りを抑えきれずに不遜な発言を行った」とも書いた。

 それから5日後、スタンリー・ロー駐中大使は環球時報に公開書簡を送り、「でっち上げの報道だ」と抗議した。南中国海をめぐる判決を盛り込むよう要求したのはシンガポールではなく、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のラオスが書面で求めたものであり、シンガポール代表は議場で仲裁問題を取り上げてもいないという趣旨だった。環球時報記者が現場にはいなかった点も指摘した。

 環球時報の胡錫進編集長は翌日、書面で反論。「会議に出席した信頼できる消息筋から確認した内容を記事化したものであり、でっち上げという主張には同意できない」とした上で、南中国海問題に対するシンガポールの態度に矛先を向けた。紛争当事国でもないシンガポールが米日を支持し、問題を膨らませているとして、「貴国の行動は行き過ぎだ」と非難した。

 ロー大使は直ちに反論。翌日未明の2通目の公開書簡で「シンガポールの南中国海に対する立場への胡編集長の批判は環球時報の報道の真偽とは無関係だ」と主張した。匿名の消息筋に頼り、虚偽の記事を書いたことが問題の本質であって、筋違いなことは言うなという趣旨だった。

崔有植(チェ・ユシク)国際部長
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