[PR]

 「不正がここまで広がっているとは。制度を根本から見直す必要があるのではないか」。精神疾患の人を支援するNPO法人「地域精神保健福祉機構」の島田豊彰専務理事は憤る。

 厚労省によると、精神科などで働く医師は約1万6千人。うち、指定医の資格を持つのは約1万4700人。精神科医にはごく一般的な資格だ。不正の背景には、措置入院の判断など指定医にしか認められていない医療行為が多く、少しでも早く資格をとりたいという医師側の事情もある。

 病院側には、経営上の利点もある。厚労省によると、通院で精神療法を受ける場合の初診料は、一般の医師の1・5倍の診療報酬が得られる。また、5人以上の常勤の指定医がいると「精神科救急入院料」が得られるという。

 ある大学の精神科教授は「精神科病院や大学病院の1カ所だけで指定医を取ろうとすると、様々な症例を経験することが難しい」と指摘する。資格取得に必要な8症例のうち児童・思春期の精神障害の患者は大学病院に集まる一方、依存症の患者は専門的に診療する地域の病院などに集まりやすい傾向があるとされる。

 複数の指定医の取り消し処分が決まった医療機関では、精神科救急ができなくなるなど、地域医療に影響が及ぶ可能性もある。

 京都府立医大病院は8人が取り消し処分を受けた。府によると、現在も約半数が同病院に勤めるが、担当者は「府立医大が医師の養成や派遣を担っており、一度にこれだけ多くの医師が取り消し処分を受ければ、中期的に影響が出る恐れがある」と気をもむ。今後について「精神科救急や措置入院に影響が出ないよう、京都市と連携して対応を検討していきたい」と話した。ある自治体の担当者は「地域で措置入院の手続きが滞りかねない。また、不正取得した医師の判断ですでに入院している人の処遇をどうするか、という問題も生じてくる」と懸念する。

 指定医7人が資格取り消しとな…

有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。

初月無料につき月初のお申し込みがお得

980円で月300本まで読めるシンプルコースはこちら