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 アジアで最も長期化している難民問題とされるタイのミャンマー難民(約10万人)の本格的な帰還に向け、両国政府の合意に基づく初めての試験事業として71人が帰国した。

 難民は25、26両日、国境沿いにある9カ所の難民キャンプのうちタムヒン、ヌポの2キャンプから陸路でミャンマー東部のカレン州や、中部バゴー管区、最大都市ヤンゴンなどに向かった。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界食糧計画(WFP)などが帰還後の生活をサポートする。UNHCRのスピンドラー報道官は「(第1陣の)数は少ないが、アジアで最も長期化している難民問題の最終的な解決につなげることが目的だ」と述べた。

 ミャンマーの少数民族カレンなどの武装組織と国軍の戦闘が激化した1980年代に大量の難民がタイに逃げ込んだ。最初のキャンプ設置は84年。今も約10万人がキャンプで暮らす。ミャンマーの民主化や戦闘の沈静化を受けて帰還の機運が高まりつつある。

 タイ外務省によると、今回の帰還は、6月にタイを訪問したアウンサンスーチー国家顧問兼外相が難民を受け入れる方針を示したことで具体化した。(バンコク=大野良祐)

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