精神保健指定医の不正取得 審査制度見直しへ 厚労省
重い精神障害がある患者に強制的な入院が必要かどうかを判断する精神保健指定医の資格を不正に取得するなどして全国の89人の医師が資格の取り消し処分になったことを受けて、厚生労働省は再発防止に向けて資格の申請を審査する現在の制度を見直す方針です。
厚生労働省は、26日、全国の大学病院などに勤務していた49人の医師が定められた症例を十分に診療していないのに、しているように装うなどして精神保健指定医の資格を申請し不正に取得していたとして、上司にあたる指導医40人とあわせて89人の資格を取り消す処分をおこないました。これらの医師が勤務していた医療機関は、全国12の都府県であわせて26に上っています。
これを受けて厚生労働省は専門家による検討会で申請を審査する現在の制度を見直す方針です。具体的には、申請した医師に十分な知識があるかどうかを直接、確認するため対面での試験を導入することや、診療経験をチェックする指導医の責任をより重くすることなどを検討するということです。
厚生労働省は、「現在の制度では今回のような不正を完全に防ぐのは難しい。精神科医療に対する信頼を確保するための制度にして再発防止につなげたい」と話しています。
これを受けて厚生労働省は専門家による検討会で申請を審査する現在の制度を見直す方針です。具体的には、申請した医師に十分な知識があるかどうかを直接、確認するため対面での試験を導入することや、診療経験をチェックする指導医の責任をより重くすることなどを検討するということです。
厚生労働省は、「現在の制度では今回のような不正を完全に防ぐのは難しい。精神科医療に対する信頼を確保するための制度にして再発防止につなげたい」と話しています。
協会「信頼を根底から覆すもの」
今回の不正取得について精神科の病院などでつくる日本精神科病院協会は、「日ごろ、培ってきた精神科医療への信頼を根底から覆すものであり、その影響は計り知れず、誠に遺憾だ」としたうえで、「この制度はおよそ30年前に制定され、運用されてきた。その間、精神科医師を取り巻く状況は大きく変化し、改革すべき時期にさしかかっている。精神障害者が置かれている偏見や差別の現状を踏まえ、先頭に立って人権を守るのだという気概をもって日々の臨床に精進することを誓う」とする声明を出しました。