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2016年10月26日07:00
頑張れ、北海道日本ハムファイターズ！
「どっちが勝ってもどうでもいい」というニュートラルな気持ちで始まった2016年の日本シリーズ。男・黒田博樹の最後の雄姿か、超人・大谷翔平の二刀流一閃か。力と技の激突で、純粋に野球を楽しむ日本シリーズを期待していました。絶対に金は賭けてない予想として日本ハムが勝つだろうと思ったのも、さしたる思い入れがあってのことではありません。「普通にコッチが強いやろ」「アッチ弱いやろ」という単なる見立てに過ぎないものでした。
しかし、じょじょに気持ちはハムへと傾いていく。不思議と。
その気持ちを決定付けたのは第2戦のひとつのプレーでした。1-1の同点で迎えた6回裏、攻める広島は無死二塁の場面。打席に入る広島・菊池は思いつき気味のバスターで三遊間を破り、レフト前に運びます。日ハムは送りバントを警戒するあまり、走者を塁に引きつけようと二塁カバーに入る動きをしていたのが裏目に出ました。文字通り「勢い」でまっぷたつに守備網を割られます。
それでも外野からの鋭い返球が送られ、ホームに突っ込んでくる走者はアウトのタイミング。セオリー無視の暴走か、と思われたプレーは球審アウトの判定。しかし、ここで広島・緒方監督が飛び出し、やおらビデオ判定に入ると、判定が覆ってセーフに。ビデオ判定後の最終決定ということで、日ハム側は抗議に出ることもできません。
だが、そのプレーには見落としがありました。捕手も走者も審判もおそらく気づかないところ、いくつもの角度から撮られたどの映像でも極めて見づらいところに、微かな接触があった。目を凝らしてみると、捕球直後の捕手のミットと、走者のヘルメットがわずかに接触しているように見える。ヘルメットがその瞬間に揺れている。これがミットとヘルメットの接触なら、その時点でタッチアウトとなるプレー。
審判団の最終決定が覆らないことなど百も承知ですし、誤審もまた野球にはつきものであると常々思っています。誤審なんてこれまでも山ほどあったわけですから、判定を覆そうなんて思いません。ただ、「当たってるわな」ということをみんなで認識した上で、「得したな」「損したな」「これは気づかんわな」という繰り言をこねくりまわしたかっただけなのです。「忍び返しに当たったホームランですね、カワイソウ！」くらいの話として。
しかし、SNSなどで散見される意見を見ると「どの角度から見ても明らかに当たってない」「ヘルメットが揺れたのは首を下げた動きのせい」「そもそも捕手がタッチしているなら追いタッチにはいかない」「捕手ならばタッチしたら必ず気づく」「あれはミットじゃなく腕」「ごちゃごちゃいうな」などと頑として認めない向きの激流。圧倒的な自己肯定で取り付く島もないような、セーフセーフセーフ広島の大合唱で満たされていたのです。
↓この揺れが「首を下げた動き」だと、どこをどう見たら思えるのだろう…？
「ミットなのか手首なのか」ならわかるが、こんな速度で首を引っ込められる人間なんておるか…？
それじゃ「神ってる」じゃなくて「亀ってる」だろ…！
↓翌日のスポニチ一面ではどう見てもミットがヘルメットに当たっているとしか見えない画像も掲載された！
セーフ派：「だから何？」
セーフ派：「これはミットじゃなく実は腕」
セーフ派：「当たっているように見えるだけ」
セーフ派：「写真一枚出されても無意味」
セーフ派：「ベースもボールも見えない画像では判断不能」
セーフ派：「まだキャッチャーが捕球してない時点かも」
セーフ派：「動画で当たってないことはすでに確認できてる」
セーフ派：「もう終わった話」
セーフ派：「セーフセーフセーフ広島」
セーフ派：「広島セーーーフーーー」
このプレーがアウト判定だったとしても、試合の勝ち負けが変わったとまでは思いません。結果的に日本ハムはてんで打てなかったわけですから。しかし、何もかもを「神ってる」で肯定して、自己神格化を許すほど日本ハムは弱くない。球界の盟主・ソフトバンクを退け、今年もまた西武の目の前で優勝を見せつけたチームが、一方的にボコられて終わっては困る。そして、そもそも「神ってる」じゃなくて「巨阪中が弱くなってる」が正解だという強い想いは、絶対に金は賭けていませんが、日本ハムの応援へと心を向けさせました。
「よーし、本当はどっちでもいいが、ハムに決めた！」
「よく考えたら広島が勝ってもカープ国民しか喜ばないが」
「日ハムが勝てばハムの安売りが始まる」
「進めファイターズ！勝利のハムを！」
「進めファイターズ！ソーセージ！」
「進めファイターズ！勝利のベーコン！」
「進めファイターズ！5割引き！」
余談ですが、このような話を遅めのランチでまくしたてましたところ、岡山県出身の同僚のオジサンは「やっとわかってくれたか」「岡山は広島と神戸に挟まれて辛い思いをしているんだよ」「連中はカープと矢沢永吉の話ばっかりしてる」と満面の笑顔で迎えてくれました。僕も「ですよね！カープとパフュームの話ばっかりですよね！」と力強く応じ、すごくランチが盛り上がりました。
そして迎えた第3戦。この日も引きつづき勢いは広島。日ハムは初回に1点をあげはするものの、つづく2回表に広島・エルドレッドに3戦連発となる逆転のツーランを許し苦しい展開です。それでも広島の先発・黒田との対決で大谷翔平が2本のツーベースを放ち気を吐くと、ミスが目立っていた守備陣も、中田翔が田中賢介が好守を見せて追加点を許しません。
勢い負け・男気負けは絶対にしないぞというパ・リーグ王者の自覚が、北海道に帰ってようやく出てきたか。今思えば第1戦・第2戦でヘラヘラと笑っていたゆるーい空気は、ソフトバンクとの死闘を制した反動だったのかもしれません。アジアシリーズ気分できていた日ハムが、ふたつボッコボコに負けてようやく目を覚ましたかのよう。僕がハムに肩入れするくらいですから、ハムも相当燃えているのかもしれませんね！ふたつボッコボコに負けて！
↓6回には広島の象徴・黒田が足を痛めて無念の負傷降板！
黒田、お疲れ様！でも、まだコレで終わらせないぞ！
広島に戻って最後の戦いをやろう！
現役最後の1球を打つか打たないか、大勝負で見送るぞ！
そのためにもハムは北海道で3つ勝て！
↓ちなみに日本ハムでも武田勝さんという選手が引退をすることになっています！
どこにだって辞めるヤツのひとりやふたりはいる！
広島がCSでやっつけた横浜にも三浦大輔がいた！
「黒田だから」という特別扱いも空気読みも当然ない！
そこは恨みっこナシでいこう！
広島がリードを保ったまま試合は終盤戦へ。相変わらずタイムリーの出ない日本ハムは、3試合連続で1点負けとなるのか。しかし、勝ちパターンの投手をも惜しみなくつぎ込む日ハムの粘りが、少しずつシリーズの流れを押し戻していきます。そして同時に広島の「セオリー無視の勢い野球」の綻びを表面に浮き上がらせていきます。
8回裏、日本ハムの攻撃。先頭の9番・中島は2球でツーストライクと追い込まれてから、巧みなファウル打ちでキャッチャーの顔面にボールを叩きつけるなど嫌らしいバッティング。10球粘っての四球には、「これぞ日本プロ野球」「クリケットならそもそもこういう打ち方が正しい」「165キロくらいの豪速球なら空振りするかもしれませんなぁ」という大きな歓声が起こります。
つづく1番・西川はしっかり送って一死二塁。2番・近藤が倒れて二死二塁となると、広島ベンチは3番・大谷翔平を歩かせる選択。一塁が空いているとは言え、広島は1点勝っている状況です。ホームラン以外なら、よしんば大谷に打たれても逆転はありません。セオリーならココは勝負の場面。自ら逆転のランナーを与えて、パ・リーグの打点王と勝負するなんて選択、そうそうできるものではないし、していいものではない。
そのうえ、そこまで「この1点勝負」にこだわったわりには外野の守備固めをするでもないという中途半端な采配。「ハッ、広島って特に何も考えてないんじゃないのか！」という電撃的な気づきは中田翔にも訪れたか、それとも「また大谷敬遠で俺勝負か」という怒りが燃え盛っていたか。「NAKATA！NAKATA！NAKATA！NAKATA！」の出囃子が鳴り響く中、打席に立った4番は…！
↓打ったーーーー！！レフト前に落ちる逆転のタイムリー！
よっしゃーーーーーー！！
やっと出た出たタイムリー！
何やかんやでこの日3打点と、打点王のチカラを見せた！
守備位置が少し深かったということはあるにせよ、あそこまで突っ込んで逸らすのは痛恨のミス。逸らさなければ同点止まりだった場面を、勢い重視の判断ミスで逆転を許してしまったのですから。手前で止まって単打に止めれば何のことはないプレーでした。そこまで1点勝負にこだわるなら、中田翔も歩かせて5番・岡と勝負でもよかったわけで、セオリー無視の勢い重視感は否めません。
逆転を許した9回表は、広島の先頭打者・鈴木が三塁打を放ち、まだまだ勢いでイケそうな雰囲気。日ハムは同点は仕方ないものと割り切って、打者との勝負に集中します。三塁に走者を置いても気にせずフォークを投じ、鬼門のエルドレッドをまずは空振り三振。つづく松山も打ちとって二死。安部に同点タイムリーを許しはしますが、後続をおさえて再逆転は許しません。
延長に突入して迎えた10回裏。広島は守護神・中��ではなく9回からの回跨ぎで大瀬良が続投します。まだ投手が尽きたわけではないのに、11回のことを考えた継投策ははたしてどう出るか。日ハムは一死から西川が四球を選ぶと、つづく陽岱鋼は送りバントはせずに三振で帰ってきます。「陽の足ならゲッツーの可能性は低い」「送ってもどうせ大谷は歩かされる」「なら、打ってみよう」という筋の通った強攻策。狙い通りの三振で、栗山監督も「陽は守備固めだから（震）」と納得です。
二死一塁で迎えた大谷の打席、広島はココにきて迷いが生まれます。大谷と勝負するのかしないのか。迷うまでもなく二死一塁なら勝負するしかないわけですが、そこに日ハムが揺さぶりをかけてきます。走者・西川が盗塁を決めて二死二塁に。さぁ一塁が空いた。得点圏に走者が進んだ。でもツーストライクと追い込んだ。勝負するのかしないのか。さっきは中田翔に打たれているけど、勝負するのかしないのか。栗山監督の声で「どうしますか！ナンチャン！」と詰めてくる悪魔のささやき。いろいろ考えた挙句に広島がパニくって出した結論は…！
↓二死二塁で大谷勝負！外野は深めの位置で前進せず！外野陣が「マジすか？」と問い合わせるも、深めの位置で前進せず！
記者：「外野がベンチの指示を確認して、前にはきませんね」
実況：「前にはこない」
記者：「確認したうえで戻って下がりました」
実況：「深めの守備位置から定位置あたりまでは出てきたんですが」
実況：「極端な前進守備をとることはありません」
古田：「前進守備しないってことは敬遠じゃないですかね？」
古田：「1点取られたら負けなんで」
古田：「後ろに下がる理由はないですね」
古田：「おっ、勝負しそうですね！」
実況：「投げてこいという石原のジェスチャー！」
実況：「頭を越される可能性が高い…ということですか」
古田：「普通は前にこないと」
古田：「二塁ランナーがかえったら終わりですから」
そして大谷の打球は一・二塁間まっぷたつ！
ライト前に転がるサヨナラタイムリー！
これまで「勢い」ですべてを破壊してきた広島。思えばここまでの勝負所でも、日ハムに完全に読まれていながら大谷のサインミスによって成功したディレードスチールであったり、タイミングはアウトで実際にアウトのプレーながら勢いで生還したビデオ判定タイムリーであったり、「結果オーライ」のプレーがつづいていました。結果オーライを引き寄せるだけの勢いがあった。
しかし、ここにきて初めて「大谷」という異次元超人に恐れを抱いてしまった。勝負すればいい場面で敬遠し、前進しなくていい場面で前進して後逸し、勝負しなくていい場面で勝負し、大きな飛球を恐れて1点勝負なのに前進守備を敷かず、そのくせ低めの球でゴロを誘うという「セオリー無視」の部分だけが、恐怖によって浮き上がってきました。
この1敗で、「横浜とどっこいどっこいの球団に勝ってきた」ことで生まれた自己肯定感と勢いは大きくそがれたはず。中島の粘りがイヤだな、西川の足がめっちゃ速いな、中田翔は勝負強いな、大谷はバケモノ…という日ハムへの恐れが、深く考えずに突っ走る広島のよさを消していくのではないか。
ここからが本当の勝負。
恐怖で震えるような場面を、鍛えた身体と磨いた技、揺るぎない心で乗り越えてこその頂上決戦です。「ワーーーーー！！」で終わってしまっては面白くない。誓って金は賭けてませんので、どっちが勝っても「おめでとう」で終わりではありますが、「ハムの大安売り」と「また25年くらいつづく繰り言」というふたつの楽しみのために、日本ハムを応援していきたく思います。願わくば、7戦までもつれてリリーフで黒田と大谷が投げ合うみたいな漫画展開でいってほしいもの。土日に野球見ながらサングリアでも飲みたいですからね…！
カープにも「大谷は菅野＋筒香よりスゴい」とわかってもらえて嬉しいです！
「どっちが勝ってもどうでもいい」というニュートラルな気持ちで始まった2016年の日本シリーズ。男・黒田博樹の最後の雄姿か、超人・大谷翔平の二刀流一閃か。力と技の激突で、純粋に野球を楽しむ日本シリーズを期待していました。絶対に金は賭けてない予想として日本ハムが勝つだろうと思ったのも、さしたる思い入れがあってのことではありません。「普通にコッチが強いやろ」「アッチ弱いやろ」という単なる見立てに過ぎないものでした。
しかし、じょじょに気持ちはハムへと傾いていく。不思議と。
その気持ちを決定付けたのは第2戦のひとつのプレーでした。1-1の同点で迎えた6回裏、攻める広島は無死二塁の場面。打席に入る広島・菊池は思いつき気味のバスターで三遊間を破り、レフト前に運びます。日ハムは送りバントを警戒するあまり、走者を塁に引きつけようと二塁カバーに入る動きをしていたのが裏目に出ました。文字通り「勢い」でまっぷたつに守備網を割られます。
それでも外野からの鋭い返球が送られ、ホームに突っ込んでくる走者はアウトのタイミング。セオリー無視の暴走か、と思われたプレーは球審アウトの判定。しかし、ここで広島・緒方監督が飛び出し、やおらビデオ判定に入ると、判定が覆ってセーフに。ビデオ判定後の最終決定ということで、日ハム側は抗議に出ることもできません。
だが、そのプレーには見落としがありました。捕手も走者も審判もおそらく気づかないところ、いくつもの角度から撮られたどの映像でも極めて見づらいところに、微かな接触があった。目を凝らしてみると、捕球直後の捕手のミットと、走者のヘルメットがわずかに接触しているように見える。ヘルメットがその瞬間に揺れている。これがミットとヘルメットの接触なら、その時点でタッチアウトとなるプレー。
審判団の最終決定が覆らないことなど百も承知ですし、誤審もまた野球にはつきものであると常々思っています。誤審なんてこれまでも山ほどあったわけですから、判定を覆そうなんて思いません。ただ、「当たってるわな」ということをみんなで認識した上で、「得したな」「損したな」「これは気づかんわな」という繰り言をこねくりまわしたかっただけなのです。「忍び返しに当たったホームランですね、カワイソウ！」くらいの話として。
しかし、SNSなどで散見される意見を見ると「どの角度から見ても明らかに当たってない」「ヘルメットが揺れたのは首を下げた動きのせい」「そもそも捕手がタッチしているなら追いタッチにはいかない」「捕手ならばタッチしたら必ず気づく」「あれはミットじゃなく腕」「ごちゃごちゃいうな」などと頑として認めない向きの激流。圧倒的な自己肯定で取り付く島もないような、セーフセーフセーフ広島の大合唱で満たされていたのです。
↓この揺れが「首を下げた動き」だと、どこをどう見たら思えるのだろう…？
これが手首かミットか#ビデオ判定#日本シリーズ pic.twitter.com/3sBLEzexJ1
— ながねぎ้้้้้้้้้้้ (@nagi_0330) 2016年10月23日
「ミットなのか手首なのか」ならわかるが、こんな速度で首を引っ込められる人間なんておるか…？
それじゃ「神ってる」じゃなくて「亀ってる」だろ…！
↓翌日のスポニチ一面ではどう見てもミットがヘルメットに当たっているとしか見えない画像も掲載された！
これ見ちゃうとやっぱりヘルメットにミットをタッチしてるからアウトっぽいんだよなあ
— トモ♂ (@tomo76ap) 2016年10月23日
じゃないとこんなにヘルメット揺れないぞ
画像はスポニチ朝刊より
カメラマンGJといったところか#日本シリーズ #田中広輔 #大野奨太 #カープ #日本ハム pic.twitter.com/9reYEUwLL4
セーフ派：「だから何？」
セーフ派：「これはミットじゃなく実は腕」
セーフ派：「当たっているように見えるだけ」
セーフ派：「写真一枚出されても無意味」
セーフ派：「ベースもボールも見えない画像では判断不能」
セーフ派：「まだキャッチャーが捕球してない時点かも」
セーフ派：「動画で当たってないことはすでに確認できてる」
セーフ派：「もう終わった話」
セーフ派：「セーフセーフセーフ広島」
セーフ派：「広島セーーーフーーー」
価格:864円 |
このプレーがアウト判定だったとしても、試合の勝ち負けが変わったとまでは思いません。結果的に日本ハムはてんで打てなかったわけですから。しかし、何もかもを「神ってる」で肯定して、自己神格化を許すほど日本ハムは弱くない。球界の盟主・ソフトバンクを退け、今年もまた西武の目の前で優勝を見せつけたチームが、一方的にボコられて終わっては困る。そして、そもそも「神ってる」じゃなくて「巨阪中が弱くなってる」が正解だという強い想いは、絶対に金は賭けていませんが、日本ハムの応援へと心を向けさせました。
「よーし、本当はどっちでもいいが、ハムに決めた！」
「よく考えたら広島が勝ってもカープ国民しか喜ばないが」
「日ハムが勝てばハムの安売りが始まる」
「進めファイターズ！勝利のハムを！」
「進めファイターズ！ソーセージ！」
「進めファイターズ！勝利のベーコン！」
「進めファイターズ！5割引き！」
余談ですが、このような話を遅めのランチでまくしたてましたところ、岡山県出身の同僚のオジサンは「やっとわかってくれたか」「岡山は広島と神戸に挟まれて辛い思いをしているんだよ」「連中はカープと矢沢永吉の話ばっかりしてる」と満面の笑顔で迎えてくれました。僕も「ですよね！カープとパフュームの話ばっかりですよね！」と力強く応じ、すごくランチが盛り上がりました。
そして迎えた第3戦。この日も引きつづき勢いは広島。日ハムは初回に1点をあげはするものの、つづく2回表に広島・エルドレッドに3戦連発となる逆転のツーランを許し苦しい展開です。それでも広島の先発・黒田との対決で大谷翔平が2本のツーベースを放ち気を吐くと、ミスが目立っていた守備陣も、中田翔が田中賢介が好守を見せて追加点を許しません。
勢い負け・男気負けは絶対にしないぞというパ・リーグ王者の自覚が、北海道に帰ってようやく出てきたか。今思えば第1戦・第2戦でヘラヘラと笑っていたゆるーい空気は、ソフトバンクとの死闘を制した反動だったのかもしれません。アジアシリーズ気分できていた日ハムが、ふたつボッコボコに負けてようやく目を覚ましたかのよう。僕がハムに肩入れするくらいですから、ハムも相当燃えているのかもしれませんね！ふたつボッコボコに負けて！
↓6回には広島の象徴・黒田が足を痛めて無念の負傷降板！
「大谷選手への１球が、プロ生活最後の１球になるかもしれませんが」と黒田選手に聞きました。
— 朝日新聞カープ担当 (@asahi_carp) 2016年10月25日
コイ黒田、全力で投げた８５球「マウンドに立てて幸せ」：朝日新聞デジタル https://t.co/6E1K5o0cMh
黒田、お疲れ様！でも、まだコレで終わらせないぞ！
広島に戻って最後の戦いをやろう！
現役最後の1球を打つか打たないか、大勝負で見送るぞ！
そのためにもハムは北海道で3つ勝て！
↓ちなみに日本ハムでも武田勝さんという選手が引退をすることになっています！
多くのフォロワーのみなさんからご依頼のあった、本日の試合前にビジョンで放映したダルビッシュ選手 @faridyu のメッセージを公開します。改めまして、ダルビッシュ選手ありがとうございました！明日も絶対に勝ちましょう！#lovefighters #宇宙一を目指せ #爆ぜる pic.twitter.com/VD7PHmQovf
— 北海道日本ハムファイターズ公式 (@FightersPR) 2016年10月25日
どこにだって辞めるヤツのひとりやふたりはいる！
広島がCSでやっつけた横浜にも三浦大輔がいた！
「黒田だから」という特別扱いも空気読みも当然ない！
そこは恨みっこナシでいこう！
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広島がリードを保ったまま試合は終盤戦へ。相変わらずタイムリーの出ない日本ハムは、3試合連続で1点負けとなるのか。しかし、勝ちパターンの投手をも惜しみなくつぎ込む日ハムの粘りが、少しずつシリーズの流れを押し戻していきます。そして同時に広島の「セオリー無視の勢い野球」の綻びを表面に浮き上がらせていきます。
8回裏、日本ハムの攻撃。先頭の9番・中島は2球でツーストライクと追い込まれてから、巧みなファウル打ちでキャッチャーの顔面にボールを叩きつけるなど嫌らしいバッティング。10球粘っての四球には、「これぞ日本プロ野球」「クリケットならそもそもこういう打ち方が正しい」「165キロくらいの豪速球なら空振りするかもしれませんなぁ」という大きな歓声が起こります。
つづく1番・西川はしっかり送って一死二塁。2番・近藤が倒れて二死二塁となると、広島ベンチは3番・大谷翔平を歩かせる選択。一塁が空いているとは言え、広島は1点勝っている状況です。ホームラン以外なら、よしんば大谷に打たれても逆転はありません。セオリーならココは勝負の場面。自ら逆転のランナーを与えて、パ・リーグの打点王と勝負するなんて選択、そうそうできるものではないし、していいものではない。
そのうえ、そこまで「この1点勝負」にこだわったわりには外野の守備固めをするでもないという中途半端な采配。「ハッ、広島って特に何も考えてないんじゃないのか！」という電撃的な気づきは中田翔にも訪れたか、それとも「また大谷敬遠で俺勝負か」という怒りが燃え盛っていたか。「NAKATA！NAKATA！NAKATA！NAKATA！」の出囃子が鳴り響く中、打席に立った4番は…！
↓打ったーーーー！！レフト前に落ちる逆転のタイムリー！
よっしゃーーーーーー！！
やっと出た出たタイムリー！
何やかんやでこの日3打点と、打点王のチカラを見せた！
守備位置が少し深かったということはあるにせよ、あそこまで突っ込んで逸らすのは痛恨のミス。逸らさなければ同点止まりだった場面を、勢い重視の判断ミスで逆転を許してしまったのですから。手前で止まって単打に止めれば何のことはないプレーでした。そこまで1点勝負にこだわるなら、中田翔も歩かせて5番・岡と勝負でもよかったわけで、セオリー無視の勢い重視感は否めません。
逆転を許した9回表は、広島の先頭打者・鈴木が三塁打を放ち、まだまだ勢いでイケそうな雰囲気。日ハムは同点は仕方ないものと割り切って、打者との勝負に集中します。三塁に走者を置いても気にせずフォークを投じ、鬼門のエルドレッドをまずは空振り三振。つづく松山も打ちとって二死。安部に同点タイムリーを許しはしますが、後続をおさえて再逆転は許しません。
延長に突入して迎えた10回裏。広島は守護神・中��ではなく9回からの回跨ぎで大瀬良が続投します。まだ投手が尽きたわけではないのに、11回のことを考えた継投策ははたしてどう出るか。日ハムは一死から西川が四球を選ぶと、つづく陽岱鋼は送りバントはせずに三振で帰ってきます。「陽の足ならゲッツーの可能性は低い」「送ってもどうせ大谷は歩かされる」「なら、打ってみよう」という筋の通った強攻策。狙い通りの三振で、栗山監督も「陽は守備固めだから（震）」と納得です。
二死一塁で迎えた大谷の打席、広島はココにきて迷いが生まれます。大谷と勝負するのかしないのか。迷うまでもなく二死一塁なら勝負するしかないわけですが、そこに日ハムが揺さぶりをかけてきます。走者・西川が盗塁を決めて二死二塁に。さぁ一塁が空いた。得点圏に走者が進んだ。でもツーストライクと追い込んだ。勝負するのかしないのか。さっきは中田翔に打たれているけど、勝負するのかしないのか。栗山監督の声で「どうしますか！ナンチャン！」と詰めてくる悪魔のささやき。いろいろ考えた挙句に広島がパニくって出した結論は…！
↓二死二塁で大谷勝負！外野は深めの位置で前進せず！外野陣が「マジすか？」と問い合わせるも、深めの位置で前進せず！
記者：「外野がベンチの指示を確認して、前にはきませんね」
実況：「前にはこない」
記者：「確認したうえで戻って下がりました」
実況：「深めの守備位置から定位置あたりまでは出てきたんですが」
実況：「極端な前進守備をとることはありません」
古田：「前進守備しないってことは敬遠じゃないですかね？」
古田：「1点取られたら負けなんで」
古田：「後ろに下がる理由はないですね」
古田：「おっ、勝負しそうですね！」
実況：「投げてこいという石原のジェスチャー！」
実況：「頭を越される可能性が高い…ということですか」
古田：「普通は前にこないと」
古田：「二塁ランナーがかえったら終わりですから」
そして大谷の打球は一・二塁間まっぷたつ！
ライト前に転がるサヨナラタイムリー！
価格:1,000円 |
これまで「勢い」ですべてを破壊してきた広島。思えばここまでの勝負所でも、日ハムに完全に読まれていながら大谷のサインミスによって成功したディレードスチールであったり、タイミングはアウトで実際にアウトのプレーながら勢いで生還したビデオ判定タイムリーであったり、「結果オーライ」のプレーがつづいていました。結果オーライを引き寄せるだけの勢いがあった。
しかし、ここにきて初めて「大谷」という異次元超人に恐れを抱いてしまった。勝負すればいい場面で敬遠し、前進しなくていい場面で前進して後逸し、勝負しなくていい場面で勝負し、大きな飛球を恐れて1点勝負なのに前進守備を敷かず、そのくせ低めの球でゴロを誘うという「セオリー無視」の部分だけが、恐怖によって浮き上がってきました。
この1敗で、「横浜とどっこいどっこいの球団に勝ってきた」ことで生まれた自己肯定感と勢いは大きくそがれたはず。中島の粘りがイヤだな、西川の足がめっちゃ速いな、中田翔は勝負強いな、大谷はバケモノ…という日ハムへの恐れが、深く考えずに突っ走る広島のよさを消していくのではないか。
ここからが本当の勝負。
恐怖で震えるような場面を、鍛えた身体と磨いた技、揺るぎない心で乗り越えてこその頂上決戦です。「ワーーーーー！！」で終わってしまっては面白くない。誓って金は賭けてませんので、どっちが勝っても「おめでとう」で終わりではありますが、「ハムの大安売り」と「また25年くらいつづく繰り言」というふたつの楽しみのために、日本ハムを応援していきたく思います。願わくば、7戦までもつれてリリーフで黒田と大谷が投げ合うみたいな漫画展開でいってほしいもの。土日に野球見ながらサングリアでも飲みたいですからね…！
カープにも「大谷は菅野＋筒香よりスゴい」とわかってもらえて嬉しいです！
オイラが観たら負けるので、今夜も観ずに我慢します！