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【現場から】ふたを開けると抜けていた「米戦略資産循環配備」…韓米間にずれ
2016年10月22日10時57分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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韓民求(ハン・ミング)国防部長官(右)とカーター米国国防長官が20日(現地時間)、米ワシントンのペンタゴンで開かれた第48回韓米定例安保協議(SCM)を終え、共同報道文を発表している。(写真=国防部) |
韓長官のこうした表情の理由は2時間半後の記者会見で明らかになった。両国長官は交代でこの日開かれた韓米定例安保協議(SCM)での合意事項を公開した。共同声明は18項目、A4用紙6枚分だった。声明は北朝鮮の核実験とミサイル発射が国連安保理決議違反であることを非難した。▼北朝鮮の追加挑発に対応するための緊密な協力▼在韓米軍の高高度ミサイル防衛(THAAD)体系配備▼海軍の協力強化--などの内容もあった。北朝鮮ミサイルに関連する情報共有強化の意志も確認した。韓米両国の懸案がほとんど盛り込まれた。
しかし韓国が期待していた核心の部分が抜けた。米国の原子力潜水艦や戦略爆撃機など戦略資産を韓半島(朝鮮半島)に常時的に循環配備するという合意だ。常時循環配備は米軍戦略資産が常に韓半島の海上や上空に留まることをいう。しかし声明には「両国国防長官は北朝鮮の挑発を抑止し、韓半島と地域の安定を維持するために、韓米同盟と米国拡張抑止力の強さに対する確固たる信頼を表明した」がすべてだった。
政府当局者は「防御用武器のTHAAD配備に対する中国の反発はもちろん攻撃用戦略武器の効用性を勘案しても、米国がその高い武器を韓半島に固定させるという決心をするのは容易でなかったのだろう」と分析した。
今年1月の北朝鮮の4回目の核実験直後から、与党セヌリ党の一部から独自の核武装論や戦術核再配備論が出てきた。先月9日の5回目の核実験後には韓半島非核化宣言を撤回すべきだという主張まで出てきた。しかし政府は「韓半島非核化原則を維持する」という基調を変えなかった。戦略武器循環配備など強力な抑止力を内心期待したからだ。
前日、国防部の当局者は「米戦略武器循環配備問題がいかなる表現であれ共同声明に盛り込まれる」とし「米国と最終調整中であり、実務的に合意した」と自信を表した。尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官も記者会見でこれに言及し、期待を膨らませた。
しかし韓長官は記者らに「今後(米戦略武器循環配備は)検討される」とのみ答えた。今回の会議で合意できなかったことを確認する発言だ。
会談の関係者によると、カーター長官も原則的には韓国政府の意見に賛成したという。ただ、米国側は「現在の戦力でも十分な抑止力を発揮でき、韓国の要求を明文化すれば韓米の対応策がそれしかないという誤ったメッセージを北朝鮮に与えるおそれがある」と説明したという。
結局、SCMの後、韓国国防部は「何を配備するという点を公開すること自体が戦略的でない」と言葉を変えた。韓長官は「戦略的あいまい性が必要だ」と主張した。それなら、国防部の当局者は何のために前日まで「米戦略資産の韓半島常時配備」の必要性を強調していたのか。