私には人には決して言えない趣味がある。
他人の家の登記簿を取得し、それを近所の第三者に差出人不明の状態で送りつけることである。
登記簿を受け取った近所の人は、かなりの確率で、家の持ち主にそのことを伝える。
家を購入したことがある人や、少しばかり法律に詳しい人なら誰でも知っているが、
不動産登記簿というものは利害関係者しか取れないものではなく、無関係な第三者でも誰でも取れるものだ。
そのことを知らない人は、いきなり登記簿を送りつけられると、自分の個人情報が悪用されているのではないかと驚く。
こんな趣味を始めたのは、昔私のことをいじめてきた人間の実家の登記簿を何となく取ってみたら、
差し押さえを受けていたことが発覚し、胸のつかえがスーっと取れるような気持ちになったからである。
それを近所の人に送ると、近所の人がソイツにそのことを伝えたので、そのいじめていた人間はビビって震え上がったそうだ。
悪意が明らかであったり、相手の狙いが分かっていれば、そこまで気持ち悪くはないだろうが、
ただの登記簿を知り合いに送りつけられるというのは、誰が何のためにやったのか意味不明すぎて、心底気持ち悪い。
それからというもの、私は他人の家の登記簿を取って、近所の人に送りつけるのが趣味になってしまった。
私は次々に登記簿を送りつける奇人として警察にマークされている。
各人一回限りなら何の違法性もないので、気持ち悪い行為かもしれないが、罪に問われることはない。
登記簿は500円ぐらいで誰でも取れる。
誰が登記簿を取ったのかはすぐに分かってしまうので、 ハイリスクな悪戯だと思う。