小池都知事、水泳とバレーボールも代替地開催を断念!IOCに“白旗”
2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技会場の見直しをめぐり、東京都の小池百合子知事(64)は25日、都庁で国際水泳連盟のマルクレスク事務総長と会談し、計画通り「オリンピックアクアティクスセンター」(江東区)で開催するよう強い要請を受けた。小池都知事は、今月中に出す都の調査チームの見直し案が「複数案」となることを明言。国際オリンピック連盟(IOC)の“圧力”に屈し、ボート・カヌーに続き、水泳、バレーボールの代替地開催も断念する公算が高まった。
午前9時半に始まった会談は、18日の「小池・バッハ会談」のリプレーのようだった。東京で25日に開幕した競泳の短水路(25メートルプール)ワールドカップを念頭に、小池氏は「楽しみにしています。私も25メートルだったら泳げると思う」と笑顔で話しかけたが、マルクレスク氏は厳しい切り返し。五輪の水泳競技場について「理想的な施設が欠かせない。大会後、東京で開催する国際大会を行う場所としても重要」とアクアティクスセンターの必要性を最後まで訴えた。小池氏は表情を硬くした。
会談後、小池氏は取材に応じ、11月に開催される都、政府、組織委、IOCによる「4者協議」で、「IOCから『(一つの提案に)決め打ちされると連携が難しくなる』と聞いている」とした上で「調査チームの答えは複数案。(協議で)それがどうなるかは連携をとっていきたい」と述べた。
「複数案」は、方針転換を意味する。小池氏は、新設予定の「アクアティクスセンター」のほか、ボート、カヌー会場の「海の森水上競技場」(東京湾臨海部)、バレーボール会場の「有明アリーナ」(江東区)の整備費が計1578億円に高騰したことを問題視。代替地開催を前向きに検討してきた。ボート・カヌー会場であれば「長沼ボート場」(宮城県登米市)など、すでに腹案はあったが、現行通り開催を臨むIOCに対して「複数案」を提示することで、事実上“白旗”を上げた格好となった。
複数案に代替地開催案も盛りこまれるとみられるが、「1対3」の劣勢が予想される4者協議では否決されることは必至。“3つの箱もの”は予定通り新設される見通しとなった。だが、圧倒的な世論を背に都政改革を推進してきた小池氏にとって、単に否決されただけでは国民が納得しないだろう。視察に赴いた宮城県では、歓迎ムードが高まっている。
そこで小池氏に残された手段は、新設施設の大幅なコストカットとなる。都はこれまで「海の森」の整備費を約200億円削減できるとしたが、残る2施設については不透明だ。この日、マルクレスク氏は「会場の観客席を減らしてもいい」と譲歩したが、それだけではまだ足りない。追いつめられた知事の底力が試される。